とよだ 時 「山の伝承伝説」民俗画
山旅イラスト通信【ひとり画展】

▼216号 「東北・八幡平のニッコウキスゲ」

むかし、坂上田村麻呂が岩手山の大猛丸を八幡平に追いつめ退治。
沼のほとりに八幡神社を建立、一帯を八幡平と命名したという。木
道わきに群生するワタスゲ。そのなかにポツンとニッコウキスゲが
はなやかに咲いているのが印象的だった。
・岩手県安代町と松尾村、秋田県鹿角市と田沢湖町との境
(本文は下方にあります)

▼216号 「東北・八幡平のニッコウキスゲ」

【本文】
広大な高層湿原と高山植物の宝庫として名高い岩手県と秋田県にま
たがる八幡平(はちまんたい)。さざ波がゆれる神秘的な火口湖の
八幡沼。広大な平原が広がっています。

八幡平周辺は豊富な湧水に恵まれ、その丘陵や段丘の縁辺は人々の
生活の場として利用され、松尾村の野田遺跡や水切場遺跡など多く
の遺跡があり、なかには屋敷台の釜石遺跡のようにストーン・サー
クルまで発見されています。

報告によるとストーン・サークルは、最大規模・直径12mの円形で、
河原石を使っているという。北側には割石を方形に敷いた張り出し
があり、中央にも径1.8mのストーン・サークルがあります。スト
ーン・サークルは11号址まで検出され、出土遺物は縄文期前葉に属
するという。

昭和になり、新聞記者であり随筆家の杉村楚人冠が八幡平を訪れ、
大自然の景観に心を打たれ紀行文に紹介されて、一躍全国的に有名
になったのでありました。

高山植物が咲くこの地にも東征途中の坂上田村麻呂(たむらまろ)
の伝説が残っています。ここの東南の岩手山には大猛丸(おおだけ
まる)という乱暴者の鬼が住んでいました。

村人の困っている様子を聞いた田村麻呂は、大猛丸討伐に向かいま
す。平安時代の初頭の797(延暦16)年のことだったという。

田村麻呂の猛攻にたまらず岩手山から逃げ出す大猛丸。ついに八幡
平に追いつめられ、退治されたと伝えられています。

鬼神大猛丸は朝廷に従わぬこのあたりの蝦夷を象徴しいまも語りつ
がれています。

東夷平定後、田村麻呂は神威による戦勝を感謝し八幡沼のほとりに
八幡神社を建立。そしてこの地を八幡平と命名したといいます。

ある年の7月末、バスから降りたのは一面真っ白なガスのなか。そ
れでも次第に晴れだしてきて、沼の木道の上を観光客がゆったりと
歩いています。

木陰に建つ伝説の応神八幡の祠も確認できました。真っ白に群生す
るワタスゲのなかにポツンと1本のニッコウキスゲがはなやかに咲
いているのが印象的でした。

それにしても大猛丸は本当に乱暴者だったのでしょうか。地方をを
治めていた王はいつも悪行を繰り返す鬼にされています。

そしてそれを退治する朝廷側は決まって自分を守る神を頼りにして
いるのですね。

★【データ】
【山名】
・八幡平(はちまんたい)。坂上田村麻呂が八幡沼のほとりに全軍
を集め、8本の旗を立てて八幡大神を勧請し、八幡平と命名した。
八幡太郎義家地名伝説。

大猛丸の霊を弔うと共に武運を祈願するため八幡を奉じた説。また
八幡太郎義家がこの山に登ったことによる説。柔らかい土地(平)
からの山名で、ヤワ(柔)・タ(処)。ヤワタ(湿地)・タイ(平)
に佳字の八をあて「八幡平」にした。

【所在地】
・岩手県八幡平市各地区名(旧岩手郡安代町)と岩手県八幡平市各
地区名(旧岩手郡松尾村)、秋田県鹿角市と秋田県仙北市田沢湖(旧
仙北郡田沢湖町)との境。いわて銀河鉄道大更駅の西22キロ。JR
東北新幹線盛岡駅からバスで八幡平終点。二等三角点(1613.3m)
がある。地形図に三角点の標高の記載あり。三角点より305m南東
にガマ沼、910mに八幡沼がある。

【位置】
・三角点:【緯度経度】北緯39度57分28.1364秒・東経140度51分14.
6976秒(電子国土ポータルWebシステムから検索)

【基準点の詳細】
・基準点:(基準点コード:TR25940764801)(点名:八幡平)(冠字
選点番号:世 10)(種別等級:二等三角点)(成果状態:正常)(測
地系:世界測地系)(緯度経度:緯度 39°57′28.1364、経度 140
°51′14.6976)(標高:1613.34m)(現況状態:報告なし 1995112
7)(所在地:岩手県八幡平市字八幡平山1−1 1林班ほ2小班)(点
の記図:閲覧可)。(国土地理院「基準点成果等閲覧サービス」から
検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「八幡平(秋田)」(国土地理院「地図閲覧
サービス」から検索)。5万分の1地形図「秋田−八幡平」(「電子
国土ポータルWebシステム」から検索)

【山行】東北の山縦走
・第1日目:1987年(平成1)7月28日(金・雨)探訪:1987年(平
成1)7月28日(金)〜8月6日(日)「上野駅・盛岡駅・八幡平頂上
バス停・八幡平・もっこ岳・岩手山・雫石駅・田沢湖駅・秋田駒ヶ
岳・千沼ヶ原・烏帽子岳・田代岱・乳頭温泉・田沢湖駅・盛岡駅・
早池峰山・薬師岳・薬師堂・又一の滝・遠野駅・花巻駅・上野駅」
:家内と縦走

【参考】
・「角川日本地名大辞典3・岩手県」高橋富雄ほか編(角川書店)1
985年(昭和60)
・「コンサイス日本山名辞典」(三省堂)1979年(昭和54)
・「新日本山岳誌」日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよた 時】

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山旅イラスト【ひとり画通信】
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