山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅通信【ひとり画展】とよだ 時

▼210号 「中ア・木曽御嶽の六尺坊天狗伝説」

【概略】
古くから山岳修験の山木曽御嶽山には天狗がウジャウジャいるとい
う。名前のついただ夷天狗だけでも前山に棲む三笠山?利天坊、八
海山大頭羅坊、阿留摩耶山アルマヤ坊などがいます。それを取り仕
切るのが御嶽権現の化身といわれる御嶽山六尺坊という別格天狗な
のだそうです。
・長野県王滝村と木曽町との境

▼210号 「中ア・木曽御嶽の六尺坊天狗伝説」

山岳信仰の山としてあまりにも有名な御嶽山(木曽御嶽ともいう)。
古くから山岳修験の活躍した山です。ここにも天狗がウジャウジャ
いることになっています。

天狗といっても大、中、小からカラス天狗、木の葉天狗、水天狗、
朝日天狗など様々な天狗がいます。同じ大天狗のなかでも名無し天
狗と名前のある天狗では大違いの存在です。

この山には名前のある大天狗だけでも、前山にすむ三笠山刀利天坊
(とうりてんぼう)、同じく前山の八海山大頭羅坊(だいずらぼう)、
主峰の剣ケ峰の一峰、摩利支天(まりしてん)山近く阿留摩耶山(あ
るまやさん)にはアルマヤ坊がいます。

それを取り仕切るのが御嶽権現の化身といわれる御嶽山六尺坊とい
う別格天狗なのだそうです。この天狗はもう神さまです。主峰の剣
ケ峰(標高3063.4m)から辺りをへイゲイしているという。

アルマヤ坊はサイノ河原東方のピークから三ノ池を見下ろしている
はずです。大頭羅坊のすむ八海山は王滝口五合目にあり、現在では
御嶽山に登るのも五合目はバスで素通りするだけです。

そして刀利天坊は六合目・田の原にある三笠山に鎮座。交通が便利
になった今でこそ、これらの山々は見むきもされませんが、王滝村
から歩いた昔はそうとうな険阻な山であったはず。山頂をめざすに
はそれなりに神秘を感じていたにちがいありません。

刀利天坊は五ノ池近くにある飛騨項上にも像があります。この山の
首領である六尺坊は、小天狗やカラス天狗をはじめ、やっと成り立
ての天狗などうごめく天狗どもを取り仕切っているのだそうです。

▼【データ】
【名山】
・深田久弥選定「日本百名山」(第60番):日本二百名山、日本三百
名山にも含まれる。
・田中澄江選定「花の百名山」(第71番・リンネソウ)
・岩崎元郎選定「新日本百名山」(第63番・長野県)

【所在地】
・長野県木曽郡王滝村と木曽郡木曽町との境。中央本線木曽福島駅
の北西20キロ。JR中央本線木曽福島駅からバス、田の原から歩い
て4時間20分で木曽御嶽剣ヶ峰。

・山頂に一等三角点(3063.4m)とすぐ西隣に写真測量による標高
点(3067m・標石はない)がある。御嶽神社の奥社がある。(その
ほかは何もなし)。山頂北直下に一の池がある。

・地形図に山名と三角点の標高、標高点の標高と神社(鳥居)記号
の記載あり。付近に何も記載なし

【位置】
・標高点:北緯35度53分34.74秒、東経137度28分49.55秒

・三角点:北緯35度53分35.06秒、東経137度28分50.3秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「御嶽山(飯田)」

【山行】木曽駒ヶ岳・麦草岳・木曽御嶽・蓼科山
・某年9月8日(火・快晴)探訪

【参考】
・「新稿日本登山史」山崎安治著(白水社)1986年(昭和61)
・「神社辞典」白井永治ほか編(東京堂出版)1986年(昭和61)
・「図聚天狗列伝・東日本編』知切光歳(三樹書房)1977年(昭和5
2)
・「天狗の研究」知切光歳(大陸書房)1975年(昭和50)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよた 時】

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