とよだ 時 「山の伝承伝説」民俗画
山旅イラスト通信【ひとり画展】

▼203号 「北ア・白馬岳の親子馬伝説

【概略】
恋仲になった白馬を殺され娘はなげき悲しみ、皮ばかりになった馬
の形見をかぶり天に昇った。それからは毎年白馬岳に雄馬の雪形が
あらわれるようになった。そして北東の三国境に娘のような雌馬が、
さらに小蓮華山には子馬まで連れているという。
・長野県白馬村と富山県朝日町との境

▼203号 「北ア・白馬岳の親子馬伝説

その昔、北アルプス白馬岳(2932m)のふもとの村にある農家があ
りました。母は、何年も前に亡くなっていて、いまは父と娘が二人
で住んでいました。この農家には一頭の白い馬が飼われていました。

白馬の世話は娘の役目でした。こまめに世話をする娘と白馬はいつ
しか恋仲になってしまいました。それに気づいた父親は驚き怒りま
した。父親はある日、娘を街に使いに出しました。

その留守の間に白馬を殺してしまいました。娘が帰ってみると、白
馬の死体はすでに鳥や獣に食べられ皮ばかりです。街から帰った娘
は、なげき悲しみ何日も泣きつづけました。

嘆き悲しんだ娘は父親に向かい「おとっつぁん、私はこれでお別れ
します。でも毎年苗代のころにはきっと姿を見せるようにしますか
らね」といって白馬の皮を頭からかぶり、天にのぼっていきました。

それからというもの、毎年春、苗代の時分になると、白馬岳には馬
の残雪模様があらわれるようになったという。

よく見ると、白馬岳に雄馬が、峰続き北東の三国境(長野・富山・
新潟県境)に雌馬、そしてさらに先の小蓮華山の右肩には子馬まで
連れているということです(「アルプスの伝説」山田野理天)。

このような娘と馬が恋をするという話は、東北地方のオシラ様や長
野県蓼科山東麓に広がる「望月の牧」の伝説があります。

★【データ】
山名:白馬岳(しろうまだけ)

・【異名・由来】
異名:大蓮華山(おおれんげやま)
由来:苗代づくりの目安になる黒い馬の雪形が由来。苗かき代馬岳
が代馬(しろうま)になり白馬岳になった。山頂の山名案内板は、
1916年(大正5)に新田次郎の小説「強力伝」のモデルとなった強
力たちが持ち上げたものとされている。

・【所在地】
長野県北安曇郡白馬村と富山県下新川郡朝日町との境。大糸線白馬
駅の北西10キロ。JR大糸線白馬駅からバス、猿倉から大雪渓経由
6時間15分で白馬岳。一等三角点(標高2932.2m)と山名案内板が
ある。地形図に山名と三角点記号と標高2932.2m文字と南側に石碑
の記載あり。三角点より南南西方向362mに白馬山荘がある。

・【名山】
・深田久弥選定「日本百名山」(第45番選定):日本二百名山、日
本三百名山にも含まれる。
・岩崎元郎選定「新日本百名山」(第54番選定)
・清水栄一選定「信州百名山」(第54番選定)
・田中澄江選定(1981年)「花の百名山」(第68番選定)
・田中澄江選定(1995年)「新・花の百名山」(第69 番選定)

・【位置】
三角点:北緯36度45分30.71秒、東経137度45分30.77秒

・【地図】
2万5千分の1地形図「白馬岳(富山)」。5万分の1地形図「富山
−白馬岳」

・【山行】
第3日目:1980年(昭和55)8月7日(木・晴れ):1980年(昭和5
5)8月5〜9日(火〜土曜日)「白馬駅・猿倉・白馬尻・白馬岳・
三国境・鉢ヶ岳・赤男山・雪倉岳・朝日岳・五輪尾根・蓮華温泉・
平岩駅」:「白馬岳から朝日岳・蓮華温泉縦走」恵(小5・10歳)、
専(小3・8歳)ファミリー山行

・【参考】
「アルプスの伝説」山田野理天(ナカザワ)
「北アルプス白馬連峰 その歴史と民俗」長沢武(郷土出版社)19
86年(昭和61)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよた 時】

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山旅イラスト【ひとり画通信】
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