とよた 時・山岳ゆ-もぁ画
山旅漫歩゚【ひとり画通信】

▼188号 「東北・会津磐梯山山頂の祠」

【概略】
昔この山には手長・足長という怪物が棲んでいて、暴れるワ、悪さ
をするワの悪行。そんな時空海かやってきて法力を使い怪物を石の
箱に入れて蓋をし、山頂に埋め磐梯明神として祭ったという。いま
も山頂の石の間で風雪にさらされています。
・福島県猪苗代町と磐梯町、北塩原村との境

▼188号 「東北・会津磐梯山山頂の祠」

♪笹に黄金がなりさがる…と歌われる福島県の会津磐梯山。磐梯山
とは、天に達するような磐の梯の意味だという。その山に宿る神霊
を磐梯明神といい、かつて山頂に磐椅神社(いわはしじんじゃ)が
あったそうです。

「奥州会津恵日寺縁起」(『新編会津風土記』による)には「磐梯山、
もとは病脳山(やまうさん)とて魔魅(まみ)住み居て常に祟りを
なし農産物を害せり。

のみならず山麓に民家あまたありしに大同元年、大爆発を起こさせ
月輪荘、更科荘が一夜に湖に化し、溺死者数知れず。

この災害を聞きて空海この地に来たりて、八田野稲荷の森にて秘法
を行せしにより、魔魅は別峰烏帽子岳に逃げ去りぬ。

この時山神、形を現しければ空海これを祝いて磐梯明神と称し、舞
楽を奏して明神と名づく」とあります。そんな記述からからかこん
な伝説が残っています。

その昔、病脳山(磐梯山)と明神ヶ岳とに両足を踏ん張って立つよ
うな怪物「足長」と、猪苗代湖の水を手ですくって会津中にばらま
く「手長」という夫婦の怪物が棲んでいた。

この怪物は、いたずら好きの乱暴者で雲を呼んで会津一帯を真っ暗
にし嵐を起こすわ、作物を荒らすわで、村人は困り果てていた。そ
んなとき弘法大師空海がやってきて、病脳山の頂上に登って怪物夫
婦に会い問答をしました。

「お前たちは何でもできると威張っているようだが大きくなること
ができるか」というと、手長足長は見る間に天まで届く大きさにな
った。

それを見た大師は「大きくはなれるが、わしの手の平に乗るような
小さくはなれまい」。「何を言う。俺たちに出来ないことはない」手
長足長は、みるみる小さくなって大師の手に乗った。

大師はすかさず用意していた石の箱に入れ蓋をし、呪文を唱え出ら
れなくしてしまった。

「お前たちはいままでさんざん悪いことをしてきたが、神として磐
梯の山に祭ってやるからこれからは、人々のために尽くすのだぞ」
と、石の箱を山頂に埋め、磐梯明神として祭ったという(『日本伝
説大系』)。

空海に救われた村人は、山名を磐梯山と改名。いまでも山頂の肩に
は弘法清水と空海大師像があります。やがて空海は山麓に恵日寺を
創建し、山号を磐梯山としたという。

空海がこの寺にとどまること3年、大同5年(平安時代)、徳一に
寺を継がせて京に帰った(『奥州会津恵日寺縁起』)とあります。

しかし何の証拠もなく実際には磐梯山爆発による災異鎮護のため徳
一が古城ヶ峰南麓磐梯町に恵日寺を建て、磐梯山の神・磐梯明神を
鎮守(磐梯神社は恵日寺のわきにある)としたものだろうというこ
とになっています。

いま山頂には皇高天原命の石碑が建ち、もとからの地主神である磐
梯明神は、その下に積まれた石の間にあって風雪にさらされていま
す。

▼【データ】
【山名】
・異名:会津磐梯山・磐梯山・会津嶺(あいづれい)・会津富士・
大磐梯山。
・由来:天に達する岩の梯子のような山。

【名山】
・深田久弥選定「日本百名山」(第22番):日本二百名山、日本三
百名山にも含まれる。
・田中澄江選定「花の百名山」(含まれず)
・岩崎元郎選定「新日本百名山」(第25番・福島県)

【所在地】
・福島県耶麻郡猪苗代町と福島県耶麻郡磐梯町、福島県耶麻郡北塩
原村との境。磐越西線猪苗代駅の北西7キロ。JR磐越西線猪苗代
駅からバス、磐梯高原駅から歩いて4時間20分で会津磐梯山。三等
三角点(1818.6m)と皇高天原命の石碑、磐梯明神の石碑がある。
地形図に山名との標高の記載あり。三角点より北方向450mに弘法
の清水と弘法清水小屋がある。

【位置】
・【三角点】緯度経度:北緯37度36分3.67秒、東経140度4分20.13秒
(電子国土ポータルWebシステムから検索)

【基準点の詳細】
・基準点:(基準点コード:TR35640301601)(点名:磐梯)(冠字選
点番号:賓 3)(種別等級:三等三角点)(基準点成果状態:正常)
(地形図:福島−磐梯山)(測地系:世界測地系)(緯度経度:緯度
37°36′03.4859、経度 140°04′20.0688)(標高:1818.61m)(基
準点現況状態:不明 20010915)(所在地:記載なし)(点の記図閲
覧:×)(国土地理院「基準点成果等閲覧サービス」から検索)

【点の記】
・閲覧不可

【地図】
・2万5千分の1地形図「磐梯山(福島)」(国土地理院「地図閲覧
サービス」から検索)。5万分の1地形図「福島−磐梯山」(「電子
国土ポータルWebシステム」から検索)

【山行】吾妻連峰取材山行
・第4日目:1991年(平成3)10月19日(土・晴れ)探訪:1991年(平
成3)10月16日(水)〜23日(水)「三陸海岸取材・裏磐梯・五色沼・
会津磐梯山・浄土平・吾妻小富士・姥ヶ原・一切経山・五色沼・家
形山・人形石・西吾妻山・小野川湖・猪苗代湖駅」:家内と同行

【参考】
・「吾妻山・磐梯山信仰と修験道」山口弥一郎:「山岳宗教史研究叢
書7・東北霊山と修験道」月光善弘編 (名著出版)1977年(昭和52)
所収
・「東北の山岳信仰」岩崎敏夫(岩崎美術社)1996年(平成8)
・「奥州会津恵日寺縁起」(「陸奥国会津河沼郡恵日寺縁起」):「山岳
宗教史研究叢書7・東北霊山と修験道」月光善弘編 (名著出版)197
7年(昭和52)所収
・「日本伝説大系3・南奥羽・越後」(山形・福島・新潟)大迫徳行
ほか(みずうみ書房)1982年(昭和57)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよた 時】

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