とよた 時・山岳ゆ-もぁ画
山旅漫歩゚【ひとり画通信】

▼166号 「上越・巻機山の御機屋伝説」

【概略】
村人が山中で日が暮れてしまった。道に迷い、美しい姫が機を織っ
ている荒れた家を見つけた。わけを話すと「私が道案内しますので
背負って下さい。そのかわり決して後ろを見てはなりません」。村
人は姫を背負って山道を下りて行った…。
・群馬県みなかみ町と新潟県南魚沼市との境

▼166号 「上越・巻機山の御機屋伝説」

群馬と新潟の県境にある巻機山(1967m・まきはたやま)は魚沼連
山の主峰になっています。この山にはこんな話が伝わっています。

昔、大木六(いまの南魚沼市塩沢町)の村人が山仕事の途中、日が
暮れてしまいました。暗闇の中をさまようち、かなたにかすかな明
かりが見えました。

「やれやれ、地獄に仏」と近づくと、荒れた家の中で美しい姫が機
(はた)を織っています。わけを話すと姫は「私もちょうど里に下
りるところでした。道案内しますので申し訳ありませんが、私をお
んぶして頂けないでしょうか。そのかわり決して私を見てはいけま
せん」。

村人は気味悪く思いましたが帯で姫を背負い、山道を下りて行きま
した。しばらくして村の明かりが見えはじめ、見覚えのあるところ
に着きました。

すると村人は安心したのか、つい横目で背中を見てしまいました。
そのとたん、美しい姫の姿はどこにもなく、自分の片目は横にらみ
のままになってしまいました。

清水地区から前巻機の山を過ぎると、山頂途中の小鞍部(あんぶ)
に「御機屋(おはたや)」と呼ばれるところがあります。姫が機を
織っていたところだと伝えられています。

9月のはじめ、避難小屋近くにテントを張り山頂を往復しました。
御機屋から東へとれば牛ヶ岳の道です。朝日岳への道が南へ分岐す
るピーク1967mあたりでみんな引き返してしまいます。

なるほどここが最高点だからでしょうか。御機屋付近は行きも帰り
もガスの中。はっきり見渡しはできませんでしたが、あたりはただ
の丘のような平地です。

家などを建てるに適したような所には見えません。村人はやはり妖
怪にたぶらかされたに違いありません。

▼【データ】
【名山】
・(第27番)日本百名山(深田久弥選定・日本二百名山、日本三百
名山にも含まれる) ・(ナシ)新日本百名山(岩崎元郎選定) 
・(ナシ)花の百名山(田中澄江選定)

【所在地】
・群馬県利根郡みなかみ町(旧利根郡水上町)と新潟県南魚沼市(旧
南魚沼郡塩沢町と六日町)との境、JR上越線六日町駅からバス、
清水から歩いて5時間半で巻機山。写真測量による標高点(1967
m・標石はない)がある。付近に何も記載なし

【位置】
・【標高点】緯度経度:北緯36度58分42.78秒、東経138度57分
51.93秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「巻機山(高田)」(国土地理院「地図閲覧
サービス」から検索)

【山行】巻機山山行
・第1日目:1995年(平成7)9月9日(土・晴れ)探訪:1995年
(平成7)9月9日(土)〜10日(日)「六日町駅・タクシー・桜沢・
三合目・五合目・八合目・前巻機山・機姫ノ池避難小屋・牛ヶ岳・
朝日岳分岐・テント場(泊)・前巻機・六合目三合目・巻機神社・
清水バス停・六日町駅」:家内と同行

【参考】
・「巻機山由来記」:「山岳宗教史研究叢書17・修験道史料集(T)」
五木重編(名著出版)1983年(昭和58)所収
・「北越雪譜」鈴木牧之:「ワイド版岩波文庫82・北越雪譜」岡田武
松校訂(岩波書店)1991年(平成3)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよた 時】

………………………………………………………………………………………………
山旅イラスト【ひとり画通信】
題名一覧へ戻る