とよだ 時 「山の伝承伝説」民俗画
山旅イラスト通信【ひとり画展】

▼神奈川県丹沢・蛭ヶ岳のヒルとひる

丹沢の蛭ヶ岳の山名は虫のヒルか植物のヒルか、僧の毘盧帽子、毘
盧舎那仏などの説あり。その昔、修験者が奥へ修行の場を広げ最高
峰蛭ヶ岳に大日如来をまつろうとしたが、表尾根に既にあるためそ
の異名・毘盧舎那仏をまつったのではないかという。
※【本文】は下記にあります(山旅通信【ひとり画展】137号)

【本文】

丹沢山塊の最高峰である蛭ヶ岳(1673m)のヒルという名前のつい
て、ここでもケンケンガクガクの諸説があります。「虫のヒルがい
る」、「植物のヒル類(ノビルなど)が生えている」、「山の形が坊さ
んがかぶる毘盧帽子(びるぼうし)に似ている」、「山頂に毘盧舎那
仏(びるしゃなぶつ)をまつってある」など。

しかし蛭ヶ岳で山ヒルに血を吸われたという話は聞きませんし、植
物のヒル類もそんなに多くないことなどから、宇宙仏といわれる毘
盧舎那仏説が有力です。

地元の古老が子供の頃は「ピルガ岳」と呼んだというのは「毘盧ヶ
岳」がなまったものではとも思われます。

なかでも江戸幕府編纂(1830・天保1)の地誌「新編相模国風土記
稿」(巻之百二十一村里部津久井縣巻之六毛利庄)鳥屋村の項に「蛭
嶽 一に毘盧嶽に作る、縣中第一の峻嶽なり」とあり「びるヶ岳」
説の記録があります。

その昔、修験者たちが修行の場を大山からはじまり、表尾根を経て
次第に奥へ広げて行きました。そして丹沢の最高峰に中心的存在で
ある仏・大日如来をまつります。

しかし表尾根に木ノ又大日、新大日の名が既にあります。そこで密
教での大日如来の異名・毘盧舎(庶)那仏を蛭ヶ岳の山頂にまつり、
その名から毘盧ヶ岳と命名したのではないかといわれているそうで
す。

▼蛭ヶ岳【データ】
【所在地】
・神奈川県山北町と神奈川県相模原市(旧津久井郡津久井町)との境。
小田急渋沢駅からバス、大倉から歩いて6時間30分で蛭ヶ岳。写真測
量による標高点(1673m)と蛭ヶ岳山荘と木曽の御嶽大神の祠がある。
地形図に山名と標高、蛭ヶ岳山荘の記載あり。

【位置】国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索
・標高点:北緯35度29分10.76秒、東経139度08分20.05秒

【地図】
・2万5千分の1地形図:「大山(東京)」

【参考】
・「新編相模国風土記稿」江戸幕府編纂(1830・天保1)の地誌(巻
之百二十一村里部津久井縣巻之六毛利庄):大日本地誌大系23「新
編相模国風土記・5」編集校訂・蘆田伊人(雄山閣)1980年(昭
和55)
・「尊仏2号」栗原祥・山田邦昭ほか(さがみの会)1989年(平成
1)
・「角川日本地名大辞典14・神奈川県」伊倉退蔵ほか編(角川書店)
1984年(昭和59)

山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

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