とよだ 時 「山の伝承伝説」民俗画
山旅イラスト通信【ひとり画展】

▼109「号房総・養老渓谷大福山白鳥神社」

【概略】
伝染病の疱瘡の瘡は「かさ」と読み、カサ神とも呼んでいます。カ
サは笠に通じるため笠森寺や笠森稲荷などになっています。紅葉ま
っ盛りの房総の養老渓谷にテントを張りました。翌日、近くの大福
山、白鳥神社に行き参拝しました。祠(ほこら)に真新しい注連縄
(しめなわ)とご弊(へい)が風になびいています。だれもいない
静かな境内で、先日の祭りの時に出た生ゴミをカラスがあさってい
ました。
・千葉県市原市

▼109「号房総・養老渓谷大福山白鳥神社」

【本文】
各地の神社やお寺に疱瘡(ほうそう)神の祠も目につきます。疱瘡
とは天然痘のことだそうです。天然痘は1918年に撲滅が確認されま
したが、それ以前は最も恐ろしい伝染病として知られていました。

奈良時代、735年(天平7)の流行をはじめとし、たび重なる流行
に人々はただ感染しないことを神仏に祈るのみでありました。疱瘡
を神としてまつり封じ込め、鎮めるため各地に「疱瘡神送り」の祭
りまであります。

疱瘡の「瘡」はかさと読みカサ神とも呼んでいます。カサは笠に通
じるため瘡守(かさもり)の意味から笠森寺や笠森稲荷などの名の
寺や神社がありますが、みな皮膚病の神になっています。

ある年11月の末、房総半島にある、紅葉まっ盛りの養老渓谷「梅ヶ
瀬」にテントを張ってみました。駅前で地酒を購入。沢でとったば
かりのクレソンやセリなどの山菜のつまみと、真紅の山々にアルコ
ールのまわりも一段と早い。

翌日、近くの大福山、白鳥神社に参拝。疱瘡神のホコラに真新しい
注連縄(しめなわ)が張られ、ご弊(へい)が風になびいています。

5日前がお祭りだったとか。ガサガサッという音。大きなカラスが
2、3羽、祭りでにぎわった名残であろう、生ゴミのつまったクズ
かごをあさっていました。

▼【データ】
【所在地】
・千葉県市原市。内房線五井駅のりかえ小湊鉄道・養老渓谷駅下車、
歩いて1時間で大福山。標高点(292m)がある。地形図に山名と
神社記号(鳥居)と標高点の標高の記載あり。

【位置】
・標高点:写真測量による標高点(292m)。緯度経度:北緯緯35
度15分24.28秒、東経140度07分24.35秒(国土地理院「電子国
土ポータルWebシステム」から検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「大多喜(大多喜)」or「久留里(大多喜)」
(2図葉名と重なる)(国土地理院「地図閲覧サービス」から検索)

【山行】
・日帰り:1981年(昭和56)10月18日(日)「千葉駅・房総西線五
井駅・小湊鉄道養老渓谷駅・女ヶ倉・梅ヶ瀬・大福山・白鳥神社・
小湊鉄道上総大久保駅」

【参考】
・「民間信仰辞典」桜井徳太郎(東京堂出版)1984年(昭和59)

山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

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