とよだ 時・山の伝承民俗画
山旅イラスト通信【ひとり画展】

▼104号 「静岡県・南アルプスの展望台大日峠」

【序文】
♪登りつめれば大日峠、秋の気配は増すばかり 心細さよザックの
重さ…と「秋山のうた」(たかすぎかずお・作詞)に歌われた、南
アルプスを一望できる展望台の大日峠。古い案内書に、かつて南ア
を目指す登山者もここで一休み、汗をふいて石仏群に心をなごませ
たとあります。現地は新峠で車がビュンビュン。旧峠は左に入った
林の中。大日如来の碑がポツン。石仏群は井川に移転したあと。現
実を見せつけられた山旅でした。
・静岡市

▼104号「静岡県・南アルプスの展望台大日峠」

【本文】
南アルプス南部の山村・静岡市井川は、とても静岡市とは思えぬ山
のまっただ中。1958年(昭和33)に静岡市街から富士見峠を越え
てこの集落まで林道が開通する以前は、この大日峠がメインルート、
というより唯一のルートだったといいます。

その昔、南アルプスをめざす登山者もここでひと休みし流れる汗を
ふいた所だと聞きます。ことに大日峠の一丁ごとにある石仏に旅人
はなごまされ励まされたことでしょう。

またここは、「♪登りつめれば大日峠、秋の気配は増すばかり 心
細さよザックの重さ、恋の思いも増すばかり」。「♪一人尋ねる勘行
牧場、ここの眺めのなつかしさ 南アルプス山また山を、見れば迷
いも晴れてくる」。「♪山の彼方の夕陽は遠い、人の旅路はなお遠い
 井川集落渡し船」。と「秋山のうた」(たかすぎかずお・作詞)に
歌われたところ。

そんな古いガイドブックをみて、JR静岡駅から上落合行きのバス
で1時間半、さらに口坂本集落を経由して2時間半、車道をただ歩
いて歩いて大日峠までひたすらに、また歩きます。大日峠の標識の
ある所はいまは車道の五差路になっています。

ここは新しい峠になったとかで車がビュンビュンと走っています。
旧大日峠は左手山みちに入った林の中だという。うだるような暑さ
と草いきれのなか、旧大日峠に向かいます。そこにはポツンと大日
如来の碑が建っているだけでした。

このあたりにあった大日如来の石碑や一丁ごとの石仏群はいまは西
麓の井川本村の大日院に移転されたと看板に書いてあります。ナン
ト、ナント、クルマ社会真っ只中の現実に、平手打ちをくらったよ
うなショックです。

思いザックを背負ってウロウロする脇を、まるで無視するようにク
ルマが走りすぎていきます。「秋山のうた」の歌詞に酔った淡い感
傷など吹っ飛ばされた石仏探訪でありました。

▼【データ】
【山名】大日峠。大日如来をまつってあった。

★【所在地】
・静岡県静岡市。大井川鉄道千頭駅の北東18キロ。JR東海道本線
静岡駅からバス上落合終点下車、さらに歩いて2時間30分で大日峠。
地形図に峠名のみの記載あり。

★【位置】
・大日峠:緯度経度:北緯北緯35度11分52.72秒、東経138度15
分25.4秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)

★【地図】
・2万5千分の1地形図「湯の森(静岡)」(国土地理院「地図閲覧
サービス」から検索)。

★【山行】大日峠山行
・第1日:1988年(昭和63)7月31日(日・快晴)大日峠探訪:19
88年(昭和63)7月31日(日)〜8月1日(月)「新静岡駅・上落
合・口坂本・大日峠・井川駅構内(泊)・井川駅・金谷駅・東京駅」
:家内と同行

★【参考】
・「アルパインガイド・30」(南アルプス)(山と渓谷社)1979年(昭
和54)版

山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

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