とよだ 時・山旅漫歩゚民俗画
山の伝承【ひとり画通信】

▼100号 「富士山・火口内の虎岩」

【概略】
平安時代、都良香が富士山に登った人から聞いて書いたという「富
士山記」に、山頂の煮えたぎった池(噴火口)の中に、虎がうずく
まっているような大岩があると書かれている。いまの「虎岩」のこ
と。また記述の地形もそっくりで記録上の富士登山者第1号は、筆
者に話をしたこの人だろうという。
・山梨県と静岡県の境

▼100号 「富士山・火口内の虎岩」

あの富士山頂にトラがいる…。平安時代の漢詩人で文章博士の都良
香(みやこのよしか・834〜879年、46歳で没)は、日本ではじめ
て富士山頂を具体的に記述した「富士山記」に次のように書いてい
ます。

「山頂に登ると池があり、竹が生えていて、平地を進むと大きな窪
地があって中にも池があり、蒸気が上がり熱湯が煮えたぎっている。
池の中には大岩があってまるで虎がうずくまっているようだ」とい
うのです。

虎というのは噴火口にある「虎岩」のことです。当時は、中央火口
に溶岩が煮えたぎっていただろうし、ここに書かれている地形もそ
っくりです。そのため、この記述は実際に富士山に登った人から直
接聞いた話であり、記録の上で富士登山者第1号は、都良香に話を
したこの人だろうということになっています。

書かれている竹というのは、苔ではないかといわれています。虎に
似た虎岩は崩れかけたとはいえ、いまでもはっきり確認できます。

この岩に関しては江戸時代には虎の絵を描くのを得意とする日本画
岸派の二代目の岸岱(がんたい)の絵による「蹲虎の碑(そんこの
ひ)」が富士山山頂に建てられています。

8月、山頂は測候所のド−ムがまぶしい(いまは撤去してありませ
ん)。「富士山記」は火口に溶岩があふれたという承平年間(平安時
代前期931〜938年)から30年後の本。さぞ危険をおかしての登山だ
ったにちがいない……。頂上の岩に寝ころがりながら本の記述を思
い出しました。

▼【データ】
【山名】富士山、不尽、不二、布士、富慈、芙蓉峰(ふようほう)、
富岳などの呼び方がある。富士山8合9勺(はちごうきゅうしゃく
=3360m)からから上、約400万平方mは、徳川家康が富士山本宮
浅間大社に寄進したとの記録があるが、明治維新後国有地にされて
いた。8合目から上の神社の施設のある約16万平方m分は1952年(昭
和27)に大社に譲与されているが、富士山頂が返還されなかったた
め、大社側が国を相手取って裁判を起こしました。1974年(昭和49)、
最高裁の判決で大社側の所有が認められた。しかし静岡、山梨の県
境が確定しておらず、登記手続きがとれず(東海財務局)、2004年
(平成16)12月17日、土地の所有権が国から富士山本宮浅間神社に
移った。(2004年(平成16)12月18付け朝日新聞から)。しかし、土
地の所有権は認められはしたものの、山頂付近の静岡県と山梨県の
県境はまだ定まっていないという。したがって、土地登記が出来ず
じまい。住所は、もちろん静岡県でもなく山梨県でもない。所在地
は、日本国富士山無番地なのだそうです。同大社側は「これで所有
権の手続きは解決した。県境の問題は県民感情もあり、登記に向け
て時間をかけて解決したい」と話しているという。

【所在地】富士山頂
・山梨県富士吉田市、山梨県南都留郡鳴沢村と静岡県富士宮市、富
士市、御殿場市・静岡県駿東郡小山町との境だが八合目付近から上
部は富士山本宮浅間大社の「私有地」になっており、境界がはっき
りしていない。

富士急行河口湖駅からバス、河口湖口五合目から5時間30分で富士
山頂。山頂剣ヶ峰に電子基準点(3777.39m)と二等三角点(3775.
63m)、白山岳に二等三角点(3756.36m)がある。火口内に写真測
量による標高点(3535m・標石はない)がある。

【位置】
・山頂剣ヶ峰に電子基準点と三角点、白山岳に三角点、火口内に標
高点がある。

剣ヶ峰に電子基準点(※標高3774.9m)(北緯35度21分38.75秒、東
経138度43分38.3秒)

剣ヶ峰電子基準点のすぐ南に三角点(標高3775.6m)(北緯35度21
分38.26秒、東経138度43分38.52秒)

白山岳に三角点(標高3756.4m)(北緯35度22分0.02秒、東経138度
43分46.43秒)

【火口内標高点の詳細】:(標高3535m)(写真測量による標高点)(緯
度経度:北緯35度21分46.53秒、東経138度43分53.27秒)(国土地理
院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)

【三角点の位置】
【剣ヶ峰の電子基準点の詳細】:(基準点コード:EL05338052802)(点
名:富士山)(冠字選点番号:記載なし)(種別等級:電子基準点)
(成果状態:正常)(測地系:世界測地系)(緯度経度:緯度経度:
緯度 35°21′38.7767、経度 138°43′38.2926)(標高3777.39m)
(現況状態:報告なし 20030817)(所在地:記載なし)(点の記図
:閲覧可)。(国土地理院「基準点成果等閲覧サービス」から検索)

【剣ヶ峰の二等三角点の詳細】:(基準点コード:TR25338052801)(点
名:富士山)(冠字選点番号:正 2)(種別等級:二等三角点)(成
果状態:正常)(測地系:世界測地系)(緯度経度:緯度 35°21′3
8.2608、経度 138°43′38.5153)(標高:3775.63m)(現況状態:
正常 20040820)(所在地:記載なし)(点の記図:閲覧可)。(国土
地理院「基準点成果等閲覧サービス」から検索)

【白山岳の二等三角点の詳細】:(基準点コード:TR25338053801)(点
名:富士白山)(冠字選点番号:正 1)(種別等級:二等三角点)(成
果状態:正常)(測地系:世界測地系)(緯度経度:緯度 35°22′0
0.0174、経度 138°43′46.4289)(標高:3756.36m)(現況状態:
正常 20040820)(所在地:記載なし)(点の記図:閲覧可)。(国土
地理院「基準点成果等閲覧サービス」から検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「富士山(甲府)」5万分の1地形図「甲府
−富士山」:※注:電子基準点(国土地理院「電子国土ポータルWeb
システム」では標高3774.9mだが「基準点成果等閲覧サービス」で
は3777.39mになっている)

【山行】河口湖側から富士登山
・第2日:1983年(昭和58)8月3日(水)富士山探訪:1983年(昭
和58)8月2日〜3日(水)「大月駅・河口湖駅・五合目バス停・
八合目泊・富士山頂・お鉢めぐり・五合目バス停・河口湖・大月駅
・高尾駅」:ファミリー山行

【参考】
・「富士山記」(都良香著):「本朝文粹註釋巻第12」柿村重松註(内
外出版)1992年(平成4)所収

山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
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