とよだ 時・山岳ゆ-もぁ画
山旅漫歩゚【ひとり画通信】

▼098号 「北ア・鹿島槍吊り尾根の雪田」

【概略】
鹿島槍とは麓の鹿島集落にある槍ヶ岳の意味。8月、ジリジリの暑
さにたまらず吊り尾根の雪田に飛び込んで雪で顔を洗う。裸になっ
ている者、昼寝をする者、それぞれに憩う。上空は気流が激しいの
か、ガスが上下にゆれていました。
・長野県大町市と富山県立山町、同県宇奈月町との境

▼098号 「北ア・鹿島槍吊り尾根の雪田」

槍の穂先のように尖っているので槍ヶ岳。高山植物の白馬岳の南に
も尖った山があって槍と同じ意味の鑓ヶ岳。また後立山連峰の尖っ
た山を鹿島槍ヶ岳(標高2889.1m)と呼んでいます。

このように同じ槍ヶ岳では区別がつかないのでそれぞれの地名をつ
けて○○槍ヶ岳と区別しています。鹿島槍ヶ岳は長野県大町市の高
瀬川支流の鹿島川の源頭にあって、山頂は双耳峰からなっていてそ
れをつなぐつり尾根があって、均整がとれた山になっています。

ここはかつては北峰を槍ヶ岳、吊り尾根が馬の鞍に似ているため南
峰を乗鞍岳と呼ぶ地域もあったといいます。その他双耳峰の形から
背比べ山、春に雪が消えた岩の形が、安曇野一円からシシやツルに
見えるところから、獅子ヶ岳、鶴ヶ岳と呼んだ時代もあったという。

富山県側からみると山岳宗教でにぎわった立山の後ろにあるため、
文字通りの後立山(うしろたてやま)になります。ところが後立山
を音読みすると「ごりゅう」やまです。

まずいことに同じ「ごりゅう」の五竜岳という山が同じ後立山連峰
にならんでいます。後立山(ごりゅうやま)とは鹿島槍ヶ岳のこと
か五竜岳のことかで大論争になったことがあるそうです。

しかし、その結果はムニャムニャと霧の中。鹿島槍ヶ岳とは長野県
大町市鹿島集落にある槍ヶ岳の意味。では鹿島とはなんぞや?かつ
て地震や災害が続いたとき、山麓の集落が大被害を受けたいう。

そこで村人は、地震の神として霊験あらたかと評判の茨城県の鹿島
大明神を迎え、川や山、集落の名を鹿島と改めたといいます。いう
までもなく、改めたのは鹿島槍ヶ岳や鹿島集落のことです。

ある8月、白馬岳方面から南を目指して縦走してきました。暑さジ
リジリ。たまらず吊り尾根の雪田に飛び込み、雪で顔を洗います。
雪の白さで目が痛い。サングラスをかけて目を保護します。

登山者たちは裸になったり、昼寝をしたりそれぞれに憩います。そ
ろそろ雪の中に埋めておいた缶詰の「ゆでアズキ」が冷えたころ。
早速食べると口の中でジワ〜としみます。

見上げると上空は気流が激しいのか、ガスが上がったり下がったり。
雪田に顔を出した岩の上に腰をかけてスプーンを持ったまましばら
くボーっとしてしまいました。俗世間とかけ離れた至福のひとときでした。

▼【データ】
【山名】古くは背比べ山・隠里岳と呼んだ。大冷沢源流にあらわれ
る雪形から「シシ岳」「ツル岳」(「富山県山名録」)。鹿島明神をま
つっている。

【所在地】南峰と北峰がある。
・長野県大町市と富山県中新川郡立山町と富山県黒部市宇奈月町
(旧下新川郡宇奈月町)との境。大糸線信濃大町駅の北西15キロ。
JR大糸線信濃大町(タクシー20分)大谷原から歩いて8時間45分
で鹿島槍ヶ岳南峰(標高2889.1m)、さらに歩いて30分で北峰(標
高2842m)。南峰には二等三角点、北峰には写真測量による標高点
(標石はない)がある。

【位置】(電子国土ポータル)
・北峰【標高点の詳細】:(標高2842m)(写真測量による標高点)(緯
度経度:北緯36度37分37.38秒、東経137度45分7.05秒)(国土地理
院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)

・南峰(標高2889.1m、三角点)(北緯36度37分28.3941秒、東経13
7度44分49.39秒)。(電子国土ポータルWebシステムから検索)

【三角点の詳細】
・基準点:(基準点コード:TR25437764001)(点名:鹿島入)(冠字
選点番号:由 6)(種別等級:二等三角点)(成果状態:正常)(測
地系:世界測地系)(緯度経度:緯度 36°37′28.3941、経度 137
°44′49.39)(標高:2889.08m)(現況状態:正常 19991001)(所
在地:長野県大町市大字鹿島字鹿島入8590番地)(点の記図:
閲覧可)。(国土地理院「基準点成果等閲覧サービス」から検索)

【点の記】
・(選点:明治35年5月19日 選点者:古田盛作)(造標:昭和62年
8月3日 造標者:芹沢昭二)(埋標:昭和55年8月10日 埋標者
:志茂久男)(観測:昭和62年8月9日 観測者:芹沢昭二)

【地図】
・2万5千分の1地形図「十字峡(高山)」or「神城(高山)」(2図
葉名と重なる)(国土地理院「地図閲覧サービス」から検索)。5万
分の1地形図「地形図 高山−大町」

【山行】「後立山連峰縦走」
・第8日:1987年(昭和62)8月2日(日・快晴):1987年(昭和6
2)7月26日(日)〜8月3日(月)「新宿駅・千国駅・源長寺・山
の神尾根・天狗原・白馬大池・小蓮華山・白馬岳・天狗の頭・不帰
嶮(かえらずのけん)・唐松岳・五竜岳・鹿島槍ヶ岳・冷池・爺ヶ
岳・扇沢出合・信濃大町・松本駅・新宿駅」:家内と同行

【参考】
・「あしなか第九十七輯」山村民俗の会
・「アルパインガイド27・白馬岳・後立山連峰」
・「アルプスの伝説」山田野利天著(株・ナガザワ)発行年不明
・「角川日本地名大辞典20・長野県の地名」市川健夫ほか編(角川
書店)1990年(平成2)
・「角川日本地名大辞典16・富山県」坂井誠一ほか編(角川書店)
1979年(昭和54)
・「北アルプス白馬連峰 その歴史と民俗」長沢武(郷土出版社)1986
年(昭和61)
・「信州山岳百科・1」(信濃毎日新聞社)1983年(昭和58)
・「新日本山岳誌」日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・「日本山岳ルーツ大辞典」村石利夫(竹書房)1997年(平成9)
・「日本歴史地名大系20・長野県の地名」一志茂樹ほか(平凡社)
1990年(平成2)
・「日本歴史地名大系16・富山県の地名」高瀬重雄ほか(平凡社)
1994年(平成6)
・「富山県山名録」橋本廣ほか(桂書房)2001年(平成13)
・「山の紋章・雪形」田淵行男著(学習研究社)1981年(昭和56)

山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

………………………………………………………………………………………………
山旅イラスト【ひとり画通信】
題名一覧へ戻る