山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅通信【ひとり画展】とよだ 時

▼087号「北ア・白馬大池の高山植物」

白馬岳の北東にある白馬大池のキャンプ場でテントをたたみ出発。
高山植物が短かい夏を惜しんで咲いている。登山者1人1人に声を
かける人がいる。山小屋の人らしい。「どうぞ、かわいい花たちを
見てやって下さい」。自分の子供たちを自慢しているようだ。

▼087号「北ア・白馬大池の高山植物」

【本文】
北アルプス白馬岳(2932m)の北東にある白馬大池は、その名の通り
の大きな池です。大昔溶岩でせきとめられた湖だそうで、周囲2キ
ロ、面積は0.62平方キロもあります。

この池にはサンショウウオも生息しています。一番深いところでは
113.5mもあるそうで、日本の高山湖のなかでは第2位の深さだと
いいます。

ここは、日本での湖沼学の開拓者・田中阿歌麿(あかまろ)という
人が、最初に携帯ボートを使って高山湖調査(湖盆形態と水温など
の物理的研究)をしたので有名なところだといいます。

使われたボートの名前は「第二チャレンジャー号」というそうです。
また、ボートの出入りに利用した大池山荘裏手の入江を「第二チャ
レンジャー湾」と名づけたと、なにかの本で読んだことがあります。

のち、阿歌麿は「北アルプス湖沼の研究」などの本を著しているそ
うです。

ある年の7月、白馬大池のキャンプ場は目が覚めるとガスと強風で
バタバタとテントが鳴っていました。そんななかテントをたたみ、
出発するころには青空がここかしこにあらわれてきました。

高山植物が短かい夏を惜しんで咲き誇っています。大勢の人たちの
姿が見えます。登山者に1人1人に声をかけている人がいます。山
小屋の関係者らしい。

「どうぞ、かわいい花たちを見てやって下さい」。まるで自分の子
供たちを自慢しているようです。そんな言葉に、きのう道に迷い、
天狗っ原の池塘のなかをはいずり回ったことなど忘れてしまいまし
た。

▼【データ】
【所在地】
・長野県北安曇郡小谷村。JR大糸線白馬駅からバス・栂池高原か
ら歩いて3時間で白馬大池。大池山荘がある。

・地形図に池名と山荘建物記号の記載あり。山荘より東南方725m
に乗鞍岳(標高点2456m)がある。乗鞍岳の付近に記念碑の記号あ


【位置】
・白馬大池:【緯度経度】北緯36度47分02.99秒、東経137度47
分46.7秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「白馬岳(富山)」(国土地理院「地図閲覧
サービス」から検索)

【参考】
・「信州山岳百科・1」(信濃毎日新聞社編)1983年(昭和58)
・「北アルプス白馬連峰 その歴史と民俗」長沢武(郷土出版社)1
986年(昭和61)
・「アルパインガイド・27」(白馬岳・後立山連峰)(山と渓谷社)1
979年(昭和54)

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山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

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