山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅通信【ひとり画展】とよだ 時

▼072号「北ア・鹿島槍鹿島二代目おばば」

・【概略】
鹿島槍の山麓で民宿を営む狩野さんは登山者のお世話をしてくれる
「鹿島のおばば」のいるお宅。初代はきく能さんといい、1977年(昭
52)に亡くなるまで登山者に、お茶、山の積雪や天候の変化、危険
個所を教えてくれるなど、いまも山男の間で思い出話が語りつがれ
ている。
・長野県大町市

▼72号「北ア・鹿島槍鹿島二代目おばば」

北アルプス後立山連峰の鹿島槍ヶ岳(2889m)は南北の双耳峰。北峰
の北東直下に「カクネ里」というところがあって、かつて落人たち
が隠れ住んだとの伝説の場所もあります。

その真下にある長野県大町市の鹿島集落の先祖は一説に平家の落武
者ともいわれ、その賛否両論でケンケンガクガクとしています。こ
こで民宿を営む狩野さんは登山者に特別の世話をしてくれる「鹿島
のおばば」のいるお宅として有名。

初代はきく能さんといい、1977年(昭52)に亡くなるまで登山者に、
お茶、山の積雪や天候の変化、危険個所を教えてくれるなど、いま
も山男の間で思い出話が語りつがれています。

1985(昭60)年1月4日、爺ヶ岳の雪中訓練で狩野さん宅にお邪魔
しました。軒先に1mもの大きなツララがぶらさがっています。ス
ト−ブの前でお茶と野沢菜づけをごちそうになります。

いまの「おばば」は2代目。ここ3,4日雪の中のテント生活の身
にこの味はなんともいえず、ただ五臓六プにしみわたります。何回
もおかわりさせて貰います。

その厚かましさにもニコニコしている「二代目おばば」。帰り際、
電車の中ででも食べなさいと、野沢菜づけを紙ザラにつつんでくれ
ました。あれからン10年、いまでもお元気でしょうか。

▼【データ】
【所在地】
・長野県大町市。JR大糸線信濃大町駅からタクシーで鹿島集落。
地形図に鹿島の文字と神社記号の鳥居マークのみの記載あり。

【位置】
・鹿島集落:【緯度経度】北緯36度34分34.34秒、東経137度48
分15.3秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「大町(高山)

【参考】
・「信州山岳百科・1」(北ア・里の山)(信濃毎日新聞社編)1983
年(昭和58)
・「角川日本地名大辞典20・長野県の地名」市川健夫ほか編(角川
書店)1990年(平成2)
・「日本歴史地名大系20・長野」(平凡社)1990年(平成2)

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山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

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