とよだ 時・山の伝承民俗画
山旅イラスト【ひとり画通信】(ひとり画展)

▼066号「北ア・槍ヶ岳北鎌尾根遭難者の遺品」

・【概略】
新田次郎の「孤高の人」、松濤明の「風雪のビバーク」など人々に
感動を与えた舞台の厳しい北鎌尾根。雪と雨のなか尾根末端にとり
ついた。急登がつづく。ピーク2のあたり、先年遭難した人たちの
遺品・ブルーのツェルトや赤いザックがぶら下がっているのが印象
に残る。・長野県大町市

▼066号「北ア・槍ヶ岳北鎌尾根遭難者の遺品」

北アルプスの槍ヶ岳(3180m)の肩を十字路にして、西に西鎌尾根、
東に東鎌尾根、南に穂高方面への稜線。そして北に延びるのが北鎌
尾根です。

新田次郎の『孤高の人』の加藤文太郎、松濤明の『風雪のビバーク』
など、人々に感動を与えた舞台はこの厳しい北鎌尾根。初登はんは
大正11(1922)年。早稲田と学習院山岳部の先登争いはシレツをき
わめたという。

4月26日入山の雪の北鎌尾根縦走のパーティーに参加しました。連
休前でトレースが全くありません。こわれかけた吊り橋を渡り、千
天出合から天井沢の流れの上にかかった雪は沢の流れで溶けてアー
チになっています。

その上をかろうじて向こう側へ渡り、小平地にテントを張ります。
翌日、雨のなか北鎌尾根末端にとりつきます。ペンキの印を頼りに
苦しい急登がつづきます。

地図を見ると北鎌独標まで、ピーク1からピーク10が記入されてい
ます。そのピーク2のあたり、ブルーのツェルト、赤いザックが木
にぶら下がっています。

ザックからしずくがたれツェルトが風にはためいています。先年遭
難した人たちの遺品がまだ片づけないであるのだと聞けば自然に脚
が立ちすくみます。

しかし気を取り直しまた高度を上げていかなければなりません。雪
を踏みしめ一歩一歩進みます。しばらくしてから小休憩。気がつく
と雨はいつか雪になっていました。先はまだ長いぞ…。

▼【データ】
【所在地】
・長野県大町市。JR大糸線信濃大町駅からバス、七倉停留所下車、
歩いて9時間半で千天沢出合。地形図に千天出合の文字のみ記載あ
り。

【位置】
・千天出合:【緯度経度】北緯36度22分32.28秒、東経137度40
分09.43秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検
索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「槍ヶ岳(高山)」(国土地理院「地図閲覧
サービス」から検索)

【山行】北鎌尾根縦走
・第2日:1985年(昭和60)4月26日(金・晴、夜雨)千天出合探
訪:1985年(昭和60)4月25日(木)〜29日(月)「新宿駅・信濃大町
・七倉・千天出合・北鎌尾根・槍ヶ岳・横尾・徳沢・上高地・松本
駅・新宿駅」:東京野歩路会

【参考文献】
・『新日本山岳誌』日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・『日本山名事典』徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成16)
・『角川日本地名大辞典20・長野県』(角川書店)1991年(平成3)

山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

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山旅イラスト【ひとり画通信】
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