山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅通信【ひとり画展】とよだ 時

▼063号 「東北・飯豊連峰エブリ差岳ゼガイ沢のビバーク」

・【概略】
農具をかついだ老人の雪形が農作業をはじめる目安になったという
エブリ差岳。お花畑の草いきれのなかをただひたすら下山。沢にお
りフワーッと涼風が体をつつむ。たまらず寝ころがりビバーク。そ
こはよく熊が水を飲みにあらわれるところとあとで聞いた。ブルブ
ル。
・新潟県岩船郡関川村

▼063号「東北・飯豊連峰エブリ差岳セガイ沢のビバーク」

・【本文】
各地の山の斜面にできる雪形は、かつてはふもとの人が農作業をは
じめる大事な目安でした。

東北飯豊連峰エブリ差岳(1636m)も、中俣川源頭にエブリをかつ
いだ老人の雪形があらわれ、ふもとの関川村大石集落の人たちはこ
れを見て農作業をはじめたといいます。エブリとは代かきのあと、
地ならしする農具のことです。

8月初旬、飯豊連峰の南端・三国岳から縦走、エブリ差岳についた
のは3日目でした。山頂の石祠の前で記念撮影。無人のエブリ差小
屋のまわりは高山植物のお花畑でした。

ジリジリと照りつける太陽の下、関川村(新潟県)大石の集落に向
かって下山をはじめました。草いきれで頭が痛くなります。一杯清
水で冷たい水を飲み、大熊小屋避難小屋近くの吊り橋を渡りひたす
ら下ります。

そして十貫平と呼ぶところの沢におりました。フワーッと涼風が体
をつつみます。たまらず寝ころがり、きょうはここでビバークと決
めツエルトを張りました。

早速もぐり込み、イッパイひっかけ前後不覚に眠りこけました。あ
とでわかった事ですが、そこはよく熊が水を飲みにあらわれるとこ
ろだったという。ブルブルブル。

▼【データ】
【所在地】
・新潟県岩船郡関川村。JR米坂線越後下関駅からバス大石終点下
車、さらに歩いて3時間でゼガイ沢出合。地形図に西俣川とゼガイ
沢の文字の記載あり。


【位置】
・ゼガイ沢出合:【緯度経度】北緯37度58分39.11秒、東経139
度34分52.97秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」か
ら検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「えぶり差岳(新潟)」(国土地理院「地図
閲覧サービス」から検索)

【参考】
・「角川日本地名大辞典15・新潟県」田中圭一ほか篇(角川書店)1
989年(平成1)
・「新日本山岳誌」日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・「日本山岳ルーツ大辞典」村石利夫(竹書房)1997年(平成9)

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山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

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