山の伝承伝説に遊ぶ
山旅通信
【ひとり画ってん】とよだ 時

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▼049号「奥秩父・雁峠親子の用足し」

【略文】
昔は、武州から甲州に抜ける道が重要な交通路だったという雁峠。
眺望がよく、ササ原の向こうに富士山が大きい。小用をもよおしま
した。いつの間にか小学4年生の息子が横にならんでしています。
後ろで6年生の娘が二人に向かってカメラのシャッターを切ってい
ます。ウン、わが家はうまくいってるワイ。その写真をいまも大事
にしています。

▼049号「奥秩父・雁峠親子の用足し」

【本文】
山梨県と埼玉県境、奥秩父・笠取山の西方1キロの所にある雁峠は、
一面のササっ原です。いまでこそ雁坂峠(2050m)の下を雁坂トン
ネルが完成してクルマが走っていますが、昔は、埼玉県側秩父湖の
川又地区からこの峠を通り、雁坂峠をへて山梨県甲州に抜ける秩父
往還があり、昔は重要な交通路だったという。

5月の連休、三峰山を起点に雲取山を経て子連れの縦走。きょうで
3日め「こどもの日」です。

ゆうべは無人の笠取小屋に泊まりました。小屋の中でもマイナス4
度まで冷えこみました。あまりの寒さにストーブを炊いたのですが、
けむりが小屋の中に充満、涙がボロボロ、息をするのがやっととい
うていたらく。

外へ出て休んだりした一夜でした。翌日、雁峠は眺望がよく、ササ
原の向こうに富士山が大きく望めます。小用をもよおしました。い
つの間にか小学4年生の息子が私の横にならんでしています。

後ろで6年生の娘が二人に向かってカメラのシャッターを切ってい
ます。ウン、わが家はうまくいってるワイ。あとで仕上がった写真
を見ながら笑い転げたのはいうまでもありません。その写真をいま
も大事にしています。

▼【データ】
【山名】・雁峠(がんとうげ・かりとうげ)

【所在地】
・山梨県山梨市三富(旧東山梨郡三富村)と埼玉県秩父市大滝(旧
秩父郡大滝村)との境。中央本線塩山駅の北北東19キロ。JR中
央本線塩山駅からバス雁坂峠入口停留所下車、歩いて5時間で雁坂
峠。地形図に峠名のみ記載あり。

【位置】
・雁峠:北緯35度51分54.08秒、東経138度48分39.81秒

【地図】
・旧2万5千分の1地形図「雁坂峠(甲府)」

【参考】
・『日本山名事典』徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成4)
・『コンサイス日本山名辞典』(三省堂)1979年(昭和54)

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山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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