山の伝承伝説に遊ぶ
山旅通信
【ひとり画ってん】とよだ 時

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▼010号 西上州・両神山の奥ノ院

伊弉諾尊(いざなぎのみこと)、伊弉冉尊(いざなみのみこと)の両神
をまつるので両神山との説。日本武尊が東征の時8日間もこの山を
見ながら旅をして来たのでホントは「八日見山」との説。山頂下部に
は薄地区の両神神社と浦島地区両神大神社があって、2つの神社の
狛犬はともにオオカミの像です。

【本文】

埼玉県奥秩父の北方、西上州近くに両神山(りょうかみさん・1723
m)という山があります。両神山は伊弉諾尊(いざなぎのみこと)、
伊弉冉尊(いざなみのみこと)をまつるという。

山名はこのふたりの両神をまつるので両神山というのだそうです。
ところが、いやいやかの日本武尊(やまとたけるのみこと)が東征
の時、8日間もこの山を見ながら旅をして来たのでホントは「八日
見山」なのだとの説もあります。

さらにいやいやいや、「八日見山」というのは、日本武尊が茨城県
の筑波山から8日間かかってこの山の着いたからだと諸説フンプン
たり。両神神社本社から歩いて30分の所にある剣ヶ峰には奥ノ院
があり、両神大神社の祭神を刻んだ石祠と普寛行者の碑が安置され
ています。

祠のわきの7、8人しか乗れないようなせまい岩の上に立つと360
度の展望が楽しめます。山頂下部には薄(うすき)地区の両神神社
と浦島地区両神大神社があって、2つの神社の狛犬はともにオオカ
ミの像です。

オオカミは大神に音が通じるため、神ががりおいのさまと呼ばれる
神の使いになっています。ふもとの村人は神社の神札を盗難や火難
よけのお札として家に持ち帰り、戸口などに張っています。


▼【データ】
【山名】両神山(りょうかみさん)異名:八日見山(ようかみさん)、
竜神山(りゅうかみさん)、竜頭山(りょうかみさん)、鋸山、ヤオ
カミサン。由来:伊弉諾、伊弉冉尊の両神。八日見説:日本武尊が
八日間この山を見続けた。竜頭(ヤオカミ)説:雨乞い(大蛇)、
?(おかみ)神、高オカミ神、闇オカミ神説。

【所在地】
・埼玉県秩父郡小鹿野町(旧秩父郡小鹿野町・旧秩父郡両神村)と
埼玉県秩父市大滝(旧秩父郡大滝村)との境。秩父鉄道三峰口駅の
北西14キロ。西武線秩父駅からバス・小鹿野乗り換え出原から歩い
て4時間で両神山(標高1723.0m)。二等三角点と両神神社奥ノ院
がある。

・【位置】
・三角点::緯度 36°01′24.2416、経度 138°50′28.7296

【地図】
・2万5千分の1地形図「両神山(長野)」

【参考】
・「角川日本地名大辞典11・埼玉県」小野文雄ほか編(角川書店)1
980年(昭和55)
・「日本歴史地名大系11・埼玉県の地名」(平凡社)1993年(平成5)

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山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

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山旅イラスト【ひとり画展通信】
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