とよだ 時・山の伝承民俗画
山旅イラスト【ひとり画通信】(ひとり画展)

▼009号 長野県・飯縄山の山ノ神さま

長野県の飯縄山は各地にある飯綱権現の本源地です。飯縄山中腹の
しめ縄の張った鳥居の奧に、5月の残雪を前にオオカミの形をした
山の神の祠があります。目や鼻もあって、ナント口を朱色にぬって
ありました。お祭りでもあったのでしょうか。

【本文】

全国の山々でよく山の神を見かけます。神道での山ノ神である大山祇神
(おおやまづみのかみ)は木花開耶姫(このはなさくやひめ)のお父さんと
して、「古事記」や「日本書紀」の神話で語られる神です。

このような立派な社の神社道は別にして、民間での山の神の姿は、いろ
いろな形に考えられています。ところによっては男の神だとも、また女神
だとか夫婦神、はたまた天狗だとさえいうところもあります。

そのほか十二サマ、さがみサマ、お里サマと呼び方も地方によってまさに
さまざまです。ここ長野県飯縄山(いいづなやま・1917m)山頂は、長野
市から歩いて3時間のところ。各地にある飯綱権現の本源地です。

飯縄山中腹のしめ縄の張った鳥居があります。その奧に、5月の残雪を
前にナント、オオカミの形をした山の神の祠をみつけました。目や鼻もち
ゃんとあって、その下の口にはちゃんと朱色にぬってあります。

山の神には、冬のうちは山の上にいて、春、山の上から田の神として里に
降りてきて農作業から農作物の生長、豊作までを見守ってくれ、秋、収穫
を見届けてからまた山の神となって山に帰っていくという「神去来の伝承」
があります。

その神降臨の時のために祠は化粧してあるものでしょうか。同じ長野県上
水内郡牟礼村夏川集落の新興寺の境内にも同様の形の山の神の祠が
ありました。長野県小諸市の懐古園内の鹿島神社境内にも同じ形の祠が
ありました。

▼【データ】
・【山名】飯縄山(いいづなやま)・飯綱山(いいづなやま)。山頂
付近の湿地の土砂が栗飯や麦飯に似て食べられるといい、飯砂山か
ら転じて飯縄山になったという。

・長野県長野市と長野県長野市戸隠(旧上水内郡戸隠村)、長野県
上水内郡飯綱町大字牟礼(旧上水内郡牟礼村)との境。信越本線牟
礼駅の西25キロ。JR信越本線長野駅からバス、飯縄高原から歩い
て2時間30分で飯縄山(1917.4m2等三角点名飯縄山・北緯36度44
分22秒,東経138度08分01秒)2万5千分の1地形図「若槻(高田)」

・1980(昭和55)年5月3日(晴れ)

【参考】
・「民間信仰辞典」桜井徳太郎(東京堂出版)1984年(昭和59)

山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

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