とよだ 時 「山の伝承伝説」民俗画
山旅イラスト通信【ひとり画展】

▼006号 長野・高ボッチ山のユウスゲ

高山植物で有名なニッコウキスゲがありますが、同じ仲間に夕方か
ら咲き出し翌日の午前中にしぼむユウスゲという植物があります。
8月、ここ長野県の高ボツチ山はユウスゲの花でレモン色に染まっ
ていました。
どういうわけか向こうの山まではニツコウキスゲ、それからこっち
はユウスゲが咲くんだと山小屋の親父さんが教えてくれました。一
面真っ白なガスの中、シシウドのかげでふるえるように咲きたての
花がゆれていました。

▼006号「長野・高ボッチ山のユウスゲ」

有名なニッコウキスゲに似たユウスゲという花があります。ユウ
スゲ(夕菅)はキスゲ(黄菅)ともいい、ユリ科キスゲ属の多年
草。

7、8月、夕方から淡い黄色(レモン色)の花が咲き出し、翌日
の午前中にはしぼみます。葉がカヤツリグサ科のスゲに似ており、
夕方咲くのでユウスゲなのだそうです。ニッコウキスゲに形がそ
っくりです。キスゲ属の学名や、英名のデイ・リリーの由来は一
日花であることからきているといいます。

ある年の7月、長野県の高ボツチ山(1655m)を訪れたときは、
ガスで視界が悪く、ほんの4、5mから先は見えません。そんな
高原の中でユウスゲの花が咲き乱れ、あたりをレモン色に染めて
います。

「どういうわけかニツコウキスゲはむこうの山までなんだ」山小
屋のご主人。なるほどいわれるとおり、翌日行った鉢伏山(1928
m)に咲いているのはオレンジ色のニッコウキスゲばかりです。

「秋に来なヨ。キノコ料理たらふく食べさせてあげるヨ」と親切
にいってくれました。それにしても、あのガスの中、シシウドの
かげでしずくに濡れながらふるえるようにゆれていた若い咲きた
てのユウスゲが忘れられません。

▼【データ】
【所在地】
・長野県岡谷市と塩尻市の境。JR中央本線岡谷駅の北8キロ高ボ
ツチ山。三等三角点(1664.9m)がある。地形図に山名と三角点(標
高)の記載あり。

・【位置】
・三角点::緯度 36°07′55.559、経度 138°02′25.1672

【地図】
・2万5千分の1地形図「鉢伏山(長野)」(国土地理院「地図閲覧
サービス」から検索)。5万分の1地形図「長野−諏訪」

【山行】高ボッチ山から美ヶ原
・第1日:1978年(昭和53)8月3日(ガス)長野・高ボツチ山探
訪:1978年(昭和53)8月3日〜8月6日「新宿駅・岡谷駅・車山
・高ボッチ山(泊)・鉢伏山・扉温泉(泊)・茶臼山・美ケ原・山本
小屋・上田駅・上野駅」:ファミリー山行

【参考】
・「牧野新日本植物図鑑」牧野富太郎(北隆館)1974年(昭和49)
・「世界の植物・9」(朝日新聞社)1975年(昭和50)
・「植物の世界・10」(朝日新聞社)1996年(平成8)

山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

………………………………………………………………………………………………
山旅イラスト【ひとり画通信】
題名一覧へ戻る