とよだ 時・山の伝承民俗画
山旅イラスト【ひとり画通信】(ひとり画展)

▼004号 丹沢・ヤビツ峠岳の台の風神

ここ旧ヤビツ峠は東側にそびえる大山と西側にある塔ヶ岳が大きな壁に
なり、その間を風が吹き抜けるため、ふもとの秦野市菩提(ぼだい)地区
では風による農作物など被害が悩みのたね。そこで村人は風神をまつ
り、しずめようと石祠を建てて祭ったものという。

▼004号「丹沢・ヤビツ峠岳の台の風神」

【本文】
日本には、貧乏神や厄病(やくびょう)の神もあれば風の神など八
百万(やおよろず)の神がおわします。いまでこそテレビで、天気
図や気象衛星からの雲の動きを見られますが、昔の人は、姿がない
のに突如として吹き荒れ、またしずまる。風を不思議に思い、暴風
におののいて神を感じ、大いにおそれ信仰しました。

この風神をしずめるため、厄病神と同じように、お祭りをして神の
ご機嫌をとったり、鎌を竿の先に結びつけて庭先に立て、風を切っ
てしまおうとする祭りまであります。神奈川県の丹沢ヤビツ峠から
ほど近いくぼ地にも風神のホコラがあります。

ここは、東側にそびえる大山と西側にある塔ノ岳の間にあり、それ
ぞれの山が大きな壁になっていて、その間を風が吹き抜けるため、
ふもとの秦野市菩提(ぼだい)地区では風による農作物など被害が
悩みのたね。

そこで村人は風神をまつり、しずめようと石祠(いしぼこら)を建
てて祭ったものという。ホコラは屋根が欠け、コケがむして訪れる
人もいません。それでも、いつあげたのか10円玉が青くさびてころ
がっています。

風神の最初の記録は、「古事記・上つ巻」や「日本書紀・巻第一」
神代上第五段。「乃ち吹(ふ)き揆(はら)ふ気化して神となりし
風神」とあります。

志那津彦命(しなつひこのみこと)と志那津比売命(しなつひめの
みこと)の男女二神をさしているそうですが、そんなリッパな神々
は別として、私たち庶民には、風袋を背負ったあの民間の風神サン
のほうが親しみがありますよね。

ここ岳の台の南西麓の菩提集落には菩提滝の沢保存会という会があ
って、毎年4月に祈願をしているそうです(「丹沢通信」No.96)。


▼【データ】
【所在地】
・神奈川県秦野市。小田急秦野駅からバスヤビツ峠下車、歩いて40
分で風神の祠(岳の台)。標高点(899m)がある。地形図に岳の台
の地名と標高の記載がある。

【位置】
標高点:北緯35度25分33.61秒,東経139度12分47.19秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「大山(東京)」(電子国土ポータルWebシス
テムから検索)

【山行】丹沢水無川葛葉川沢登り
・(日帰り):1983年(昭和57)6月20日(日・くもり)丹沢ヤビツ
峠風神の祠探訪:「新宿駅・大秦野駅・菩提・葛葉山荘・横向きの
滝・板立ての滝・林道・三ッ俣・三ノ塔・二ノ塔・菩提峠・岳の台
・ヤビツ峠・大秦野駅・新宿駅」:ファミリー山行

【参考】
・「尊仏2号」栗原祥・山田邦昭ほか(さがみの会)1989年(平成
1)
・メルマガ「丹沢通信No.96」http://www.mag2.com/m/0000033034.html
:塚本宏氏発行
・「日本書紀」(一)坂本太郎ほか(岩波文庫)1995年(平成7)
・「古事記・上つ巻」:新潮日本古典集成「古事記」西宮一臣校注(新
潮社)2005年(平成17

山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

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山旅イラスト【ひとり画通信】
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