『新・丹沢山ものがたり』CD本(加筆版)
第15章「三国山−不老山」

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▼04:不老山

【略文】
ある年の6月、御坂山塊から御正体山に渡り、西丹沢の稜線を三国
山経由で、湯船山から不老山まで歩きました。誰もいない不老山山
頂にはサンショウバラが可憐に咲いています。このまま下山するの
がもったい……。幸い明日1日、空いています。そこで花の下にテ
ントを張ることにしました。夜半、鹿がサンショウバラの観賞にあ
らわれました。
・神奈川県山北町と静岡県小山町との境

▼04:不老山

【本文】
西丹沢の不老山の山頂は切り開かれ小広い草地になっていて、かつ
ては防火線だったという。夏はヤブが深くなるところですが、晩秋
から早春にかけてはハイキングの好適地になっています。

一般的に「フロウ」とは斜面の中間の平地をいうことばで、特に大
きいものを指すそうですが、ここ不老山の山名の由来は不詳だそう
です。

江戸幕府の『新編相模国風土記稿』巻之16村里部足柄上郡巻之5
には「不老山、西北にあり、下同、山伏岳の字あり」と記載、山伏
岳ともいっていたようです。

山頂付近は草地が開けていて、サンショウバラがたくさん生え、シ
ーズンにはわざわざこの花を見に訪れる人が多く賑わいます。

サンショウバラは、バラ科バラ属の高さ1〜6mにもなる落葉低木
〜小高木。葉やトゲがミカン科のサンショウに似ているところから
その名があるという。

6月のある日、御坂山塊から御正体山に渡り、西丹沢の稜線を三国
山経由で、湯船山から不老山に着きました。誰もいない山頂。サン
ショウバラの花が可憐に咲いています。

このまま下ればきょう中に家に帰れますが、下山するのがもったい
ないよう気分です。日没にはまだ間がありますが、ベンチのある山
頂直下の淡紅色のサンショウバラの花の下にテントを張ってみまし
た。幸い水も足りそうです。

こんな所に泊まる人がいるはずもなく、静かな夜を迎えます。夜中、
いろいろな動物が近寄ってくる気配。寝返りを打ったら、プシュッ
と声がしたかと思うと飛び退くような音がしました。

鹿でも様子を見に来ていたのでしょうか。それともサンショウバラ
の花を観賞していたのでしょうか。いずれにしてもジャマをしてし
まったようです。

サンショウバラは、富士山の周辺(山梨、神奈川、静岡県)に分布
する落葉樹というから、このあたりの特産と聞けばとくべつな思い
になります。バラ屬としてめずらしく、大きくなる種類だそうで、
幹が茎10センチもあります。

花は6〜7月。小さな枝の先端に6センチもの大きな五弁花を咲か
せます。淡い紅色のぼかしたようなきれいな花ですが、1〜2日で
終わってしまうそうです。材質が堅いので斧の柄に利用するため「オ
ノギ」のなもあるそうです。果実も熟すと甘い香りがするそうです。



▼不老山【データ】
【所在地】
・神奈川県山北町と静岡県小山町との境。小田急新松田駅からバス、
棚沢キャンプ場前下車歩いて2時間30分で不老山。山頂に写真測
量による標高点(928m)とベンチがある。地形図に山名と標高点
の標高記載あり
【位置】
・標高点:北緯35度23分59.21秒、東経139度00分11.32秒
【地図】
・2万5千分の1地形図「駿河小山(甲府)」or「山北(東京)」(2
図葉名と重なる)



▼【参考】
・『角川日本地名大辞典14・神奈川県』伊倉退蔵ほか編(角川書店)
1984年(昭和59)
・『新日本山岳誌』日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・『新編相模国風土記稿』巻之16村里部足柄上郡巻之5:大日本地
誌大系19『新編相模国風土記稿・1』編集校訂・蘆田伊人(雄山
閣)1980年(昭和55)
・『日本大百科全書・10』(小学館)1986年(昭和61)

 

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