『新・丹沢山ものがたり』CD本(加筆版)
第14章「大棚−鉄砲木ノ頭」

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▼01:山伏峠

【略文】
葉が密生しておまけに毛が多く、なんとなく「薮」の感じがするヤ
ブウツギ。6月、御正体山から山伏峠に下る急坂付近で真っ赤なヤ
ブウツギを見つけた。急坂で足元が不安手ながら見とれてしばし立
ち止まる。どこかで山仕事のチェーンソーの音が聞こえてくた。
・スイカズラ属タニウツギ属の落葉低木

▼01:山伏峠

【本文】
登山道のわきの落葉低木の密生した葉の間から、ろくに開かない暗
紫紅色の花が、束ね垂れ下がるように咲いています。枝や葉、花、
子房など全体に毛が生えています。


ヤブウツギは葉が密に生えて、おまけに葉や花に毛が多く、なんと
なく「薮らしい」感じがするのでつけられた名前だといいます。


高さ2mから3mで山地に生えていて、枝は灰黒色をしており茎や
枝の髄は白色です。葉のふちは細かいギザギザで、表裏の両面に毛
が生えています。長さ5センチから12センチ。


花は5、6月に咲き、長さ3、4センチで漏斗状鐘形をしています。
奈良県吉野地方では、このヤブウツギを「オーカメバナ」と呼ぶそ
うです。


それは花が咲く5月下旬ごろは鹿の肉が1番うまい時期なのだそう
で、鹿を捕らえようとオオカミが盛んに追いかけていたからだと伝
えます。(「植物の世界・1」)


ある年の6月、山梨県身延線の市川大門駅から東に歩きだし、四尾
連湖(しびれこ)、御坂山塊経由で西丹沢を目指したことがありま
した。


御正体山(みしょうたいやま)で残り少なくなった食料を気にしな
がら小休止をとったあと、西丹沢にとりつく山伏峠に下る急坂付近
に真っ赤なヤブウツギが咲いているのを見つけました。


急坂で足元が不安手ながら見とれてしばし立ち止まりました。どこ
かで山仕事のチェーンソーの音が聞こえてきます。峠の下を通るク
ルマの音が別の世界のことのように感じました。山梨県以西、四国
に分布。
・スイカズラ属タニウツギ属の落葉低木



▼山伏峠【データ】
【所在地】
・山梨県南都留郡道志村と同郡山中湖村との境。富士急行腺十日市
場駅の南東10キロ。地形図に峠名のみ記載。標高なし。

【位置】(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)
・【山伏峠】緯度経度:北緯35度27分8.75秒、東経138度55分52.12


【地図】
・2万5千分の1地形図「御正体山(甲府)」

【参考】
・「世界の植物・1」(朝日新聞社)1975年(昭和50)
・「植物の世界・1」(朝日新聞社)1996年(平成8)
・「牧野新日本植物図鑑」牧野富太郎(北隆館)1974年(昭和49)

 

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【とよだ 時】 山の画文著作
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