『新・丹沢山ものがたり』CD本(加筆版)
第12章「大笄・小笄−加入道山」

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▼10:用木沢

【略文】
夜中に一晩中主稜をを歩くカモシカ山行。犬越路の急坂を下るころ
は半分眠っている。用木沢河原ではつまずいた岩にやつあたりもし
たくなる。そばでゆれるツリフネソウが印象に残る。紅紫色の花が
ぶら下がる姿はまるで舟をつっているよう。ツリフネソウとはよく
いったもの。
・神奈川県山北町

▼10:用木沢

【本文】
夜中に神奈川県秦野市丹沢の登山口大倉バス停を出発。大倉尾根を
登り、塔ノ岳、丹沢山蛭ヶ岳など一晩中主稜をを歩き通し、翌日昼
ごろ西丹沢に着くカモシカ山行。


檜洞丸から、犬越路の急坂を下るころは半分眠りながら歩きます。
やっと着いた用木沢河原ではつまずいた岩にやつあたりもしたくな
ります。そばでゆれるツリフネソウが印象に残ります。


ツリフネソウは、湿り気の多い所に、紅紫色の花がたくさんぶら下
がっています。草の高さ50センチくらい、茎の節がふくらみ紅紫色
をおびています。


花は直径3センチ、長さ3〜4センチ。花の下側には3枚のがく片
があり、下方の一片は大きく、筒形の距(きょ)になっていて先端が
細くなってシッポのように内側にまいていて、ぶら下がる姿はまる
で舟をつっているようです。ツリフネソウとはよく名づけたもので
す。


日本では当たり前に見かけるものですが、分類学的に知られたのは、
ごく最近、幕末になってからとのこと。飯沼慾斎(いいぬまよくさ
い)の「草木図説」(1862年)に「紫のツリフネソウ」としてホウセ
ンカ、黄のツリフネソウなどと一緒に記載していますが「西書ニ在
テ未ダ此種ヲ説(とく)ヲ見ズ」とあります。
・ツリフネソウ科ツリフネソウ属の1年草。



▼用木沢【データ】
【所在地】
・神奈川県足柄上郡山北町。小田急新松田駅からバス、西丹沢終点
下車。さらに歩いて1時間で用木沢。地形図に東海自然歩道の文字
のみ記載。付近に何も記載なし。
【位置】
・用木沢:北緯35度29分17.55秒、東経139度04分17.08秒
【地図】
・2万5千分の1地形図「中川(東京)」



▼【参考】
・「植物の世界・3」(朝日新聞社)1996年(平成8)
・「世界の植物・4」(朝日新聞社)1975年(昭和50)
・『牧野新日本植物図鑑』牧野富太郎(北隆館)1974年(昭和49)
・『日本大百科全書・15』(小学館)1987年(昭和62)

 

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