『新・丹沢山ものがたり』CD本(加筆版)
第11章「同角山稜・ユーシン・山神峠」

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▼02ユーシン

【略文】
丹沢湖畔玄倉集落から林道を3時間、ユーシンという妙な名前の
ところがある。古い山の本のなかに「友信」「幽神」「湧深」など
の字が当てられているものを見つけた。地名の名付け親は小宮兵
太郎という人という。辞書を引いてみたら「幽深」という熟語が
あった。
・神奈川県山北町。

▼02:ユーシン

【本文】
 神奈川県西部の山北町丹沢湖畔玄倉から林道を3時間、ユーシ
ンという妙な名前のところがあります。ロッジもあり、車で乗り
入れができて、同角山稜や蛭ヶ岳、塔ノ岳方面へも行けることも
あって結構にぎわっています。


 ユーシンとはなんだ?その語源についてもいろいろな説にわか
れているそうです。ユーシンの地名の名付け親は小宮兵太郎とい
う人だそうで、その息子さんの話では「湧津」の字を使っていた
とか。でも、もともと「ユーシン」という言葉(沢の名)があっ
ての当て字だろうといわれています。


 小宮氏は、寄村(現在の松田町寄地区)出身、1916年(大正5)
から1945年(昭和20)まで山の管理人として、神奈川県の職員と
してユーシン勤務していた人。


 ところが「湧津」という地名は、小宮氏以前からあったとする
登山記録が出てきたりしていますが、どうやら登山記録を書いた
登山者にユーシンの名と湧津の書き方を教えたのはかの小宮氏で
あろうと、丹沢自然保護協会副会長であったハンス・シュトルテ
氏はみています。


 だが小宮氏がすでにあった沢の名をそのままとって湧津の漢字
にあてたのか、または沢の名がワキツで、それを湧津と書いたも
のを後の人が音読みしてユーシンと呼んだのか、氏が故人となっ
たいま、もはや知るすべがない(ハンス・シュトルテ氏)。


 ただ丹沢の案内書でおなじみの羽賀正太郎氏は案内書のなかで、
「ユーシンは勇信、湧津、友信などいろいろな字で記されている
が、どれが正しいかはっきりしない。神奈川県の前知事内山岩太
郎さんは幽神などとも書かれるが、私は仮名でユーシンと記して
おく」としています。


 ちなみに、横浜税関山岳会の植木知司氏によると、「ユ−シン」
をハングル語に求めると「静かで奥深いこと」、「深くてあまり美
しくない山」という意味になるそうです。このユーシンも隧道崩落
により2006年(平成18)から5年間、玄倉林道が全面封鎖されていまし
たが、2011年(平成23)秋に復活しました。しかしこの方面の林道はよく
崩壊し、2021年(令和3)1月現在封鎖。2022年(令和4)開通をめざし
ているということです(山北町観光協会)。



▼ユーシン【データ】
【所在地】
・神奈川県足柄上郡山北町。小田急新松田駅からバス、玄倉下車、歩
いて3時間でユーシンロッジ。地形図にユーシンロッジの文字と建物
記号の記載あり。ロッジより南方221mに玄倉川がある。
【位置】
・ユーシンロッジ:35度27分05.75秒、東経139度07分16.95秒
【地図】
・2万5千分の1地形図「中川(東京)」or「大山(東京)」(2図葉名と重なる)

▼【参考文献】
・「尊仏2号」栗原祥・山田邦昭ほか(さがみの会)1989年(平成1)
・『続・丹沢夜話』ハンス・シュトルテ(有隣堂)1991年(平成3)

 

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【とよだ 時】 山の画文著作
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【ゆ-もぁ-と】制作処
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