『新・丹沢山ものがたり』CD本(加筆版)
第6章「塔ノ岳〜龍ヶ馬場」

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▼02:不動清水

おなじみ塔ノ岳の山頂にはかつて金華山というお寺があり、毎年5
月5日がお祭りだったそうです。いまは山歩きの人たちでひっきり
なし。休日などはラジュースの音がにぎやかです。

その頂上西側直下には「不動清水」という水場があって不動明王の
石仏が建っています。明治ころまでは行者のための寵り堂もあった
らしい。ここは一名「弘法の加持水」ともいわれ、弘法大師が修行
のため塔ノ岳へ登ったときに発見されたものだといいます。

しかし、これはおそらく真言派の経験者によつて作られた伝説だろ
うという。真相は、奥駆けの行最後の先達・丸東講の武内氏による
ものだそうです。


北側の金沢はかつて金鉱があって永録時代には数百人の鉱夫が入っ
たという。かつて塔ノ岳を金華山といったのはこれによるという人
もいます。


4月、不動清水に水の音だけがひびきます。中老の人が道を間違え
ておりてきました。道を教えてあげたら「ウエー、ここを引き返す
のか」と像の前にしゃがみ込む。そしてやっと気をとりなおしさい
銭をあげて登りはじめました。


▼【データ】
・【地名】不動明王の石仏があり「不動の清水」といわれるが、「弘
法の加持水」ともいわれ、弘法大師が修行のため塔ノ岳へ登ったと
きに発見されたものだという。

【所在地】
・神奈川県秦野市と神奈川県足柄上郡山北町。小田急線渋沢駅から
バス、大倉から歩いて3時間30分で塔ノ岳水場。

【位置】
・塔ノ岳水場:北緯35度27分19.25秒、東経139度9分27.05秒

【地図】
・旧2万5千分の1地形図「大山(東京)」



▼【参考】
・「尊仏2号」栗原祥・山田邦昭ほか(さがみの会)1989年(平成
元)

▼02:不動清水(終わり)

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