『新・丹沢山ものがたり』CD本(加筆版)
第5章「鍋割山稜」

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▼02:鍋割峠

【略文】

ここは南麓の寄集落から崩壊した道を尊仏の土平に出て塔ノ岳に登

り返し、尊仏山荘の名の由来になっている尊仏岩へのお参りに利用

した峠。またユーシン側への仕事道として通っていたものという。

風化した馬頭観音らしい石仏が一体ぽつんと建っている。

・神奈川県山北町と松田町との境

▼02:鍋割峠

【本文】

いつもにぎやかな神奈川県丹沢表尾根コ−スから、ちょっとはずれ

た鍋割山頂のすぐ西の鍋割峠(1080m)まで行くと、もう、人っ子

一人いない静寂さがかえってきます。



峠は十字路になっていて、北への道は途中で崩壊して廃道になって

います。この峠は、南麓の寄(やどりき)集落から崩壊した道をと

おり、尊仏の土平に出て塔ノ岳に登り返し、尊仏山荘の名の由来に

なっている尊仏岩へのお参りに利用。



またユーシン側への仕事道として通っていたものという。背丈を超

すスズタケの根元にポツンと石仏が一体。風化していて形ははっき

りしませんが、頭に馬の顔らしきものを乗せており、どうやら馬頭

観音らしい。



どうしてこんな所に馬頭観音が?しかし、昔5月15日の孫仏山(塔

ノ岳)のお祭り時など、大勢の人で賑わった通路だったと聞けば合

点がいきます。



かがみ込んで石仏の大きさを計ったりなどしていたら、突然「ガサ

ガサッ」と音がしてスズタケのなかから登山者が一人飛び出してき

ました。



一瞬、熊とでも間違えたのか「ギョッ」と立ち止まりました。ちな

みに私はその時、ズボンもシャツも黒ずくめでした。すみません。



▼【データ】

▼【所在地】

・神奈川県足柄上郡山北町と松田町との境。小田急小田原線渋沢駅

の北西10キロ。小田急渋沢駅からバス大倉終点下車・さらに歩いて

3時間半で鍋割山、さらに15分で鍋割峠。地形図に峠名、標高とも

に記載なし。



▼【位置】

・鍋割峠:北緯35度26分44.14秒、東経139度08分14.34秒



▼【地図】

・2万5千分の1地形図「大山(東京)」



▼【参考】

・『角川日本地名大辞典14・神奈川県』伊倉退蔵ほか編(角川書店)

1984年(昭和59)

・『かながわの山』植木知司(神奈川合同出版)1981年(昭和56)

・「新日本山岳誌』日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)

・「尊仏2号」栗原祥・山田邦昭ほか(さがみの会)1989年(昭和64

・平成1)

 

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