『新・丹沢山ものがたり』CD本(加筆版)
第1章「大山と大山三ッ峰周辺」

…………………………………

▼07:大山の天狗伯耆坊

【略文】
大山は天狗の山。多くの天狗をとりしきるのが伯耆坊という大天狗。
名前の通りもと鳥取県の伯耆大山に棲んでいた。ここにはもと相模
坊という天狗がいたが平安末期香川県の白峰山に山移り。次いで伯
耆大山から伯耆坊が移住したという。その祠が大山寺の脇に鎮座す
る。
・神奈川県伊勢原市

▼07:大山の天狗伯耆坊

【本文】
神奈川県にある丹沢相模大山(さがみおおやま)は、石を神格化し
た神である石尊大権現(せきそんだいごんげん)をまつっています。


この山は、近県はおろか遠く長野県のあたりにまで信仰されていた
ようです。JR篠ノ井線姥捨駅(おばすてえき)の近くの霊諍山(れ
いそうざん)のずらりとならんだ奇怪な石仏のなかに相模大山の石
尊の石碑があります。


大山はまた天狗の山でもあります。大天狗や小天狗が数多くすむ中
で、その大親分が「相模大山伯耆坊(ほうきぼう)」という大天狗
のなかでもさらに大物天狗だという。


京都・愛宕山(あたごさん)太郎坊、鞍馬山僧正坊(そうじょうぼ
う)などとならんで「日本の八天狗」にも名を連ねています。伯耆
坊というのは名前の通り、もと鳥取県の伯耆大山(ほうきだいせん)
にすんでいたからついた名前です。


この山には、はじめ土地の名前・相模坊(さがみぼう)という天狗
がいたそうです。この相模坊が平安末期、香川県の白峰(しらみね)
に山移りし、次いで伯耆大山から伯耆坊が移住してきたというので
す。


その伯耆坊のホコラがケーブル不動前駅の大山寺のわきに鎮座しま
す。昔は下社のとなりにありましたが、明治初年、時の政府が神仏
分離令を施行して以来、荒廃の一途をたどります。


その後、天狗研究家の知切光歳氏が長年放置されていた伯耆坊天狗
の祠の礎石を発見。それをそっくり使って昔通りの祠に再建したと
ききます。


祠は参拝者に見向きもされず、それでも大切に大山寺にまつられて
います。またケーブル終点の阿夫利神社下社の登山道わきにも伯耆
坊の絵入りの石碑が建っています。


それにしても大山寺の天狗祠は鍵がかけられて厳重です。一度でい
いから中を拝ませてもらいたいものです。



▼【データ】
【山名】雨降山・阿夫利山(あふりやま・あぶりやま)、国御山(く
にみやま)、大福山(だいふくさん)、如意山・阿倍利山
【所在地】
・神奈川県伊勢原市と厚木市・秦野市との境。小田急小田原線伊勢
原駅の北6キロ。小田急伊勢原駅からバス、大山ケーブル駅からケ
ーブル利用下社駅下車、さらに歩いて1時間30分で丹沢大山。三等
三角点(1251.7m、現地確認)と写真測量による標高点(1252m・
標石はない)と阿夫利神社奥社と電波塔がある。地形図に山名と三
角点の標高、標高点の標高、阿夫利神社の建物の記号と電波塔の記
号の記載あり。
※「地図閲覧サービス」と「電子国土ポータルWebシステム」地形
図には三角点と標高点があるが、「基準点成果等閲覧サービス」地
形図には両方とも記入がない。
【ご利益】
・御利益:豊作祈願・無病息災・家内安全・防災招福・商売繁盛な
どの祈願。とくに水に関係のある火消し・酒屋、またご神体の刀に
関係のある大工・石工・板前などの商売繁盛の祈願)。
【位置】
・標高点:北緯35度26分27.06秒、東経139度13分52.3秒
・三角点:北緯35度26分26.72秒、東経139度13分52.5秒
【地図】
・2万5千分の1地形図「大山(東京)」(国土地理院「地図閲覧サ
ービス」から検索)。5万分の1地形図「秦野−東京」



▼【参考】
・『図聚 天狗列伝・東日本編』知切光歳著(三樹書房)1977年(昭
和52)
・『天狗の研究』知切光歳(大陸書房)1975年(昭和50)

 

…………………………………

 

 

【とよだ 時】 山の画文著作
………………………………
【ゆ-もぁ-と】制作処
山のはがき画の会

目次へ戻る
………………………………………………………………………………………………………