冬 編 2月
………………………………………………
●目次
第1章 銀世界 誰をにらむか 雪だるま
・(1)如月(059-01) ・(2)雪だるま(059-02) ・(3)雪ウサギ(060)
・(4)セツブンソウ(061) ・(5)ヒイラギ(062)
第2章 白ギツネ 赤い鳥居がならぶ 大明神
・(1)稲荷(063) ・(2)マキ(064) ・(3)ツバキ(065)
第3章 道祖神 半分ずれた 綿帽子
・(1)雪合戦(069) ・(2)富士山すべり、雪つり(070)
・(3)ナンテン(071、072) ・(4)ユズの葉(073) ・(5)クスサン(074)
第4章 海に注ぐ 川の元結め 水の神
・(1)水神(075) ・(2)ヘクソカズラの実(076)
・(3)オツネントンボ(077) ・(4)ヒヨドリ(078)
第5章 遊休田 田の神様も 出番なし
・(1)田の神(079) ・(2)スイカズラ(080) ・(3)キタテハ(081)
・(4)俵のお面(082) ・(5)フクロウ(083) ・(6)カンアオイ(084)
・(7)奪衣婆の石像(085) ・(8)北極星(086) ・(9)冬芽、冬越し(087、088)
第6章 首すぼめ つららをくぐる 山の宿
・(1)つらら(089) ・(2)ハワサイのお面(090) ・(3)スイセン(090)
…………………………………
第1章 銀世界 誰をにらむか 雪だるま
冬編(2月)・第1章「銀世界 誰をにらむか 雪だるま」
(1)如月
「きさらぎ」は旧暦の2月の呼び方ですが、太陽暦のいまでも通
用しています。きさらぎという言葉は、「日本書紀」にもあって、
奈良時代には使われていたようです。
きさらぎは、2月が木や草が芽を張り出すころ(月)というので、
「木久佐波利舞伎」(きくさはりつき)だと、江戸中期の「語意考」
という本に出ています。
また、まだかなり寒いのでさらに重ねて着る意味の「衣更着」だ
という説や、旧暦2月はいまの3月ごろで、陽気が盛んになる季節
なので、「気、更に来る」意味だなどの説もあります。(059-01)
…………………………………
冬編(2月)・第1章「銀世界 誰をにらむか 雪だるま」
(2)雪だるま
雪の朝、外へとび出します。すると、もう雪だるまの一つや二つ
は出来ています。よほど早く起きて作ったのでしょう。遠くをにら
んでいます。
雪遊びは、大昔の子どもたちの間でも人気があったらしく、日本
書紀や万葉集にも載っており、雪でいろいろな造形遊びをしたよう
です。
雪だるまという言葉があらわれたのは江戸時代、だるまの玩具が
ブームになってから。元禄年間(江戸中期)北村季吟が書いた「季
吟独吟」にあるのが最初の記録です。(059-02)
…………………………………
冬編(2月)・第1章「銀世界 誰をにらむか 雪だるま」 (3)雪ウサギ |
…………………………………
冬編(2月)・第1章「銀世界 誰をにらむか 雪だるま」 (4)セツブンソウ |
…………………………………
冬編(2月)・第1章「銀世界 誰をにらむか 雪だるま」 (5)ヒイラギ |
…………………………………
第2章 白ギツネ 赤い鳥居がならぶ 大明神 |
冬編(2月)・第2章「白ギツネ 赤い鳥居がならぶ 大明神」 (1)稲荷 |
…………………………………
冬編(2月)・第2章「白ギツネ 赤い鳥居がならぶ 大明神」 (2)マキ |
…………………………………
冬編(2月)・第2章「白ギツネ 赤い鳥居がならぶ 大明神」 (3)ツバキ |
…………………………………
第3章 道祖神 半分ずれた 綿帽子 |
冬編(2月)・第3章「道祖神 半分ずれた 綿帽子」 (1)雪合戦 |
…………………………………
冬編(2月)・第3章「道祖神 半分ずれた 綿帽子」 (2)富士山すべり、雪つり |
…………………………………
冬編(2月)・第3章「道祖神 半分ずれた 綿帽子」 (3)ナンテン |
…………………………………
冬編(2月)・第3章「道祖神 半分ずれた 綿帽子」 (4)ユズの葉 |
…………………………………
冬編(2月)・第3章「道祖神 半分ずれた 綿帽子」 (5)クスサン |
…………………………………
第4章 海に注ぐ 川の元締め 水の神 |
冬編(2月)・第4章「海に注ぐ 川の元締め 水の神」 (1)水神 |
…………………………………
冬編(2月)・第4章「海に注ぐ 川の元締め 水の神」 (2)ヘクソカズラの実 |
…………………………………
冬編(2月)・第4章「海に注ぐ 川の元締め 水の神」 (3)オツネントンボ |
…………………………………
冬編(2月)・第4章「海に注ぐ 川の元締め 水の神」
(4)ヒヨドリ
ツバキの林の下を歩いていると、突然顔を黄色にした鳥が飛び立
ちます。ヒヨドリがツバキの蜜を食べにきて、花粉をくっつけたの
でしょう。
ピィーヨ、ピィーヨとけたたましく鳴いて、うるさいくらい日本
中にいる鳥ですが、世界ではものすごく珍しく日本独特の鳥。
ナンテン、ヤツデ、ヒサカキ、アオキなどの実や、花の蜜ではツ
バキ、サクラ、サザンカ、また、昆虫なども食べるという。
しかし勢いあまってビワやミカンにまでくらいつき、害鳥などと
いわれたりします。本州のものは漂鳥ですが、北海道では冬に群れ
をなして、南へ渡りをします。
わが家の玄関わきのヤツデにもよく実を食べに来てくれます。朝
ドアを開けたとたん、バサバサッ、ピィーヨで、驚かされます。ハ
ナスイとあだ名されるほど花の蜜が好きだそうです。(078)
…………………………………
第5章 遊休田 田の神様も 出番なし
冬編(2月)・第5章「遊休田 田の神様も 出番なし」
(1)田の神
いまのように農業技術が発達していなかった昔、農作物の出来、
不出来は生活にかかわる問題でした。とりわけ、米の不作は、村々
の存亡にも影響します。
人々は作物の収穫を司る神として大昔から農神、田の神を祭り、
豊作を祈るのでした。
田の神は地方によって、農神、さく神、さんばい、亥の神などと
呼ばれ、昔の人は春、山の上から田の神になって里に降り、稲を守
り、秋、収穫が終わると山に帰ると考えました。
神が里に降りることを「さおり」、山に登ることを「さのぼり、
さなぶり」といって、お祭りをします。この「さ」は神のことで、
早苗や神聖な田植えをする早乙女の「さ」と同じ意味です。
しかし米が余って減反、転作の時代、遊休田を見て、田の神も、
さぞ目をシロクロ小さくなっていることでしょう。
・千葉県八千代市でも以前はそおり(さおり)の日、田のすみに七
株ぐらい苗を植えて田の神に捧げる行事がありました。(079)
…………………………………
冬編(2月)・第5章「遊休田 田の神様も 出番なし」 (2)スイカズラ |
…………………………………
冬編(2月)・第5章「遊休田 田の神様も 出番なし」 (3)キタテハ |
…………………………………
冬編(2月)・第5章「遊休田 田の神様も 出番なし」 (4)俵のお面 |
…………………………………
冬編(2月)・第5章「遊休田 田の神様も 出番なし」
(5)フクロウ
東京都の奥座敷奥多摩。月夜見山と御前山の中間にある小河内峠(河 内峠)は、奥多摩町小河内地区と檜原村とつなぐ峠。小河内地区は 1957(昭和32)年奥多摩湖の出現で945世帯が移転。その跡地は奥 多摩湖の底に水没しました。
この峠はかつて奥多摩町と檜原村との物資や文化交流のただ一つの 通行路だったといいます。1992年、ある社会人山岳会の70周年記念 出版「東京の山100山50コース」(山と渓谷社)というガイドブック のとりまとめを担当。
同年4月、現地再調査に訪れました。JR武蔵五日市駅から入り三 頭山に近づくころはどしゃ降りの雨。仕方なく三頭山避難小屋に1 泊。翌日三頭山の東峰、中央峰、西峰の呼び方の乱れを地図上で整 理します。
また東峰の三頭御前の祠の再調査などですっかり時間をとられ、雪 の月夜見山から車道を横切り、御前山へ向かいました。が、途中の 小河内峠で暗くなってしまいビバーク。ゆったり広めの峠道は落ち 葉がじゅうたんになり気持ちがいい。
夕食もすませ、ラジオを聞きながら寝袋に潜り込みます。そのうち そばの木でフクロウが鳴きました。フクロウが木の枝で鳴いている のです。ゴロッ、ゴロッ、ボーコといううす気味悪い鳴き声です。
昔の人は、これを「ぼろ着て奉公」とか「糊つけて干ーせ」などと 聞きなししました。絵本などにも、夜の場面になると必ずフクロウ が描かれています。丸い平べったい顔、時々片目をつむったりして、 ジッと見つめる2つの目。
首が短いくせに顔をうしろに回したり、上下を逆さにしたりの芸当 ができます。この愛嬌のあるフクロウは昔から人々に親しまれてき たようです。すると少しは離れたところから別のフクロウが答えま す。どうやら仲のよいフクロウ夫婦のようです。
フクロウは夜行性。夜でも目が見え、少しの音でも聞き逃さないの だそうです。獲物を見つけると、羽音をたてないやわらかい羽で飛 びたちます。そして前向き2本、後ろ向き2本の指でがっしりと捕 まえて食べます。
獲物はネズミ、モグラ、兎、小鳥などだそうです。夜が更けた静か な山の中、テントのそばで2羽のフクロウの呼び交わしがいつまで も聞こえてきました。 (083)
…………………………………
冬編(2月)・第5章「遊休田 田の神様も 出番なし」 (6)カンアオイ |
…………………………………
冬編(2月)・第5章「遊休田 田の神様も 出番なし」 (7)奪衣婆の石像 |
…………………………………
冬編(2月)・第5章「遊休田 田の神様も 出番なし」 (8)北極星 |
…………………………………
冬編(2月)・第5章「遊休田 田の神様も 出番なし」
(9)冬芽、冬越し
寒い北風、積もる雪。野山はすっかり冬枯れています。動物はも
ちろん、昆虫も地中の穴、枯れ葉の下で、春のくるのを待っていま
す。植物にとっても待ち遠しい春。冬芽で、ロゼット葉で、地下茎
で春の準備をしています。
固い皮で覆われているのはサクラの仲間、ツバキ、モモ、カキ、
ヤマブキやツツジ類、カエデ類の冬芽。ウロコのような鱗片にびっ
しりと覆われ、中はぬくぬく、花を咲かせる準備に万端おこたりあ
りません。
びっしり覆われた冬芽を外側から一枚一枚はがしてみてところ、
なんとソメイヨシノでは、32枚もの鱗片が重なっていたと、植物
の先生が雑誌に書いていました。
冬芽をミンクの毛皮を着たように、やわらかい毛で守っているの
はモクレン、アオギリ、コブシの仲間。幼い芽は暖かい毛で守られ、
雪や風など、どんとこいです。
ねばねばしたヤニのような粘着液を芽の表面や鱗片のすき間につ
けて雨水、虫をよせつけないのがトチノキの冬芽。古い葉で芽を摘
んで寒さに耐えているのがアジサイです。
また、地面に根生葉でへばりつき、冬の日光をもらさず吸収し、
地熱をのがさず、北風も頭上をやり過ごそうとするのがロゼット葉。
タンポポ、ハルジオン、ナズナなどで、葉は中心部ほど幅がせま
く先へ行くほど広いのは、重なって、冬のうすい日光を吸収するの
にロスがないようにだといいます。
このように冬芽をつくったり、地面にへばりついたり、葉をたた
んだり、それぞれみんな一生懸命。一年中、うかれて野だ山だとほ
っつき歩く身がはずかしい。(087、088)
…………………………………
第6章 首すぼめ つららをくぐる 山の宿
冬編(2月)・第6章「首すぼめ つららをくぐる 山の宿」 (1)つらら |
…………………………………
冬編(2月)・第6章「首すぼめ つららをくぐる 山の宿」 (2)ハクサイのお面 |
…………………………………
冬編(2月)・第6章「首すぼめ つららをくぐる 山の宿」 (3)スイセン |
…………………………………………………………………………………………………
2月終わり