『新・山の神々いらすと紀行』
画と文・とよだ 時

第9章 近畿の山々

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▼05:奈良県二上山・嶽の権現さん

【略文】
奈良・大阪境の二上山は二神山の意味で雄岳雌岳がならぶ双子山。
このうち雄岳の山頂だけは奈良県に属しています。山頂には二上神
社が祭られていて、地元の人は「嶽の権現さん」と呼びます。この
山は水神の性格の山だとか。干ばつの雨乞いには提灯と幟を持って
登るという。
・奈良県葛城市と大阪府太子町との境。

▼05:奈良県二上山・嶽の権現さん


【本文】

奈良県と大阪府の境にある二上山(にじょうさん・ふたがみやま)

は「二神山」の意味で、雄岳・雌岳がならぶ双子山です。このう

ち、雄岳の山頂のみが奈良県だけに属し、雌岳は県境になってい

ます。



山頂には、二上神社が祭られていて、地元の人は「嶽の権現さん」

と呼ぶそうです。この山は、水神の性格の山だといいます。雨が

降らず、干ばつになった年には、提灯(ちょうちん)と幟(のぼ

り)を持って雨乞いに登るという。



山ろくの村々には「嶽の権現さん幟がお好き、幟持ってこい、雨

降らす」という里謡(りよう)もあります。それとは別に4月に

「岳登り」といって、村人が弁当を持って山に登って、1日行楽

する習慣があります。



これは花見のもとになっている「山行き」の行事だと思います。

ある年の11月の小春日和、二上山の雄岳は、となりの雌岳からの

子供たちの歓声がこだましています。



雌岳の公園は、小学生の集団登山でにぎやかです。雌岳に近づく

につれ、芝生の上で相撲をとる子、鬼ごっこで走り回る子などが

まわりをキャーキャーいってすれ違います。



しばらく小休止。時計を見ると12時はとうに回っています。今夜

のテン場の葛城山はまだかなた。昼食も早々に出発しました。



▼【データ】
【所在地】雄岳と雌岳がある
・奈良県葛城市(旧北葛城郡当麻町)と大阪府太子町との境。近鉄
南大阪線二上神社口駅から歩いて1時間10分で雄岳、さらに10分
で雌岳。雄岳に写真測量による標高点(517m)と葛木二上山神社
の祠と大津皇子の墓がある。雌岳には三角点(474.1m)がある。
【位置】
・雄岳標高点:北緯34度31分32.79秒、東経135度40分39.47秒
・雌岳三角点:北緯34度31分20.68秒、東経135度40分32.78秒
【地図】
・2万5千分の1地形図「大和高田(和歌山)」



▼【参考文献】
・『角川日本地名大辞典29・奈良県』永島福太郎ほか編(角川書店)
1990年(平成2)
・『日本歴史地名大系30・奈良県の地名』(平凡社)1981年(昭和56)
・『新日本山岳誌』日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・『日本山名事典』徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成4)

 

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