『新・山の神々いらすと紀行』
画と文・とよだ 時

第9章 近畿の山々

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■02:大台ヶ原・鬼と二人の神(画展608)

【略文】
大台ヶ原の大蛇ぐらは標高差千mの大絶壁。ここには妖怪がすむと
いう。猟師の六兵衛の前にあらわれた鬼女。飯をくれの、酒を飲ま
せろのとせがんでくる。そこへ怪女があらわれ無言のまま睨みあっ
た。しばらくして天地が震動して鬼女が消えた。怪女は山の神の化
身だった。
・奈良県上北山村

■02:大台ヶ原・鬼と二人の神


【本文】

奈良県と三重県境にそびえる大台ヶ原山の南斜面にある大蛇ー(だ

いじゃぐら)は、標高差千mの東ノ川の谷底まで落ち込む大絶壁で

す。このあたりは昔から妖怪のすむ山として地元の人々から恐れら

れた地域だという。



ここには次のような怪女伝説が伝わっています。麓に住む猟師の六

兵衛が網すきに使うスクリの木をとりにここ大蛇ぐらへ来ました。

すると鬼女がやってきて飯をくれの、酒を飲ませろのとうるさくせ

がんできます。



そこへ同様の怪女があらわれました。怪女と鬼女は無言のまま睨み

あいました。しばらくして天地が震動して鬼女が消えました。怪女

は山の神の化身でしたが、鬼女のあまりの力の強さに大峰山の弥山

の神に助けて貰って六兵衛を守ることができたという。



紅葉の秋、高野山から電車とバスを乗り継ぎ大台ヶ原にやってきま

した。そして駐車場のあるバス停から鹿の鳴き声を聞きながら大蛇

ぐらを訪れました。



しかし、年間雨量5千100ミリを越す多雨地帯だという。そう滅多

に晴れてはくれません。結局絶景はガスの中、谷底はおろかなにも

見えませんでした。仕方なく日出ヶ岳に向かい展望台に登りました

がやはり景色は無理のようです。



これから大杉谷を下ろうと地図を広げ確認。途中どこかいい場所が

あればテントを張るつもりです。4,5人の登山者に見送られなが

らかすむ景色の中三重県側大杉谷に下りていきました。



▼大蛇ー(だいじゃぐら)展望台【データ】
【所在地】
・奈良県奈良県吉野郡上北山村。近鉄吉野線大和上市駅の南東25
キロ。近鉄吉野線大和上市駅からバス・大台ヶ原、さらに歩いて1
時間15分で大蛇ー(だいじゃぐら)展望台。近くに三等三角点(亡
失)と写真測量による標高点。地形図の大蛇ーの文字は谷底にあり。
点線の末端(展望台)より東南方向57mに標高点(1579m・標石
はない)がある。また点線の末端(展望台)より東北方向500mに
牛石ヶ原がある。
【位置】
・標高点:北緯34度10分13.51秒、東経136度5分29.15秒
【地図】
・旧2万5千分の1地形図「大台ヶ原山(伊勢)」or「河合(伊勢)」
(2図葉名と重なる)



▼【参考】
・『角川日本地名大辞典29・奈良県』永島福太郎ほか編(角川書店)
1990年(平成2)
・『日本歴史地名大系30・奈良県の地名』(平凡社)1981年(昭和56)
・『日本の伝説13・奈良の伝説』岩井宏美ほか(角川書店)1976年

 

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