『新・山の神々いらすと紀行』
画と文・とよだ 時

第8章 東海(富士山)・北陸の山々

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■07:荒島岳・鹿の角と災いの風

【略文】
古く平安初期の「延喜式」にも出てくる山。この山には仙人が住ん
でいたという。江戸中期の本に常陸房が事なりとあり、義経の家来
常陸坊海尊だとしている。この山にも雪形が出てそれを見て九頭竜
川ではアユ捕りをはじめたという。また初夏に吹く風はウンカを運
び、稲に被害をもたらすという。
・福井県大野市

■07:荒島岳・鹿の角と災いの風


【本文】

大野市の東に位置する荒島岳は「大野富士」とも呼ばれ、白山と同

じ泰澄上人の開山、「日本百名山」にも数えられています。荒島岳

の標高は1523m。「百名山」では95番目、「日本二百名山」は166

番目、「三百名山」では224番目の山です。



しかし歴史は古く平安初期の「延喜式」にも阿羅志摩我多気(あら

しまがたけ)と出てきます。この山には餐霧(さんむ)という仙人

が住んでいたという。



江戸中期の本にこれは常陸房が事なりとあり、義経の家来常陸坊海

尊だとしています。この山にも雪形が出てそれを見て九頭竜川では

アユ捕りをはじめたという。雪形はY字形をしていて地元の人は「鹿

の角」と呼んだという。



春、荒島岳から吹き下ろす乾燥した南東の風は大火をもたらす荒島

おろしと恐れられ、また初夏に吹く風はウンカを運び、稲に被害を

もたらすというから厄介です。



9月、やはり「百名山」ブーム?、吹き出す汗のなか、20人近く

の登山者に出会いました。ブナ林の登山道にハングル文字の布の見

印が枝に結ばれていたのが印象的でした。



▼荒島岳【データ】
【所在地】
・福井県大野市(旧大野郡大野町)と福井県大野市(旧大野郡和泉
村)との境。JR越美北線(九頭竜線)越前大野駅の南東11キロ。
JR越美北線(九頭竜線)勝原駅から歩いて4時間で荒島岳。一等
三角点(1523.5m)と、祠がある。地形図上には山名と三角点の標
高と鳥居の記号のみ記載。
【名山】
・深田久弥選定「日本百名山」(第88番選定):日本二百名山、日
本三百名山にも含まれる。
・岩崎元郎選定「新日本百名山」(第46 番選定)
【位置】
・三角点:北緯35度56分03.49秒、東経136度36分04.5秒
【地図】
・2万5千分の1地形図「荒島岳(岐阜)」



▼【参考】
・『角川日本地名大辞典18・福井県』河原純之ほか編(角川書店)1
989年(平成1)
・『新日本山岳誌』日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・『日本山岳ルーツ大辞典』村石利夫(竹書房)1997年(平成9)
・『日本山名事典』徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成4)
・『日本歴史地名大系18・福井県の地名』(平凡社)1981年(昭和56)

 

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