『新・山の神々いらすと紀行』
画と文・とよだ 時

第7章 南アルプスの山々

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■11:聖岳山名と最南記録

【略文】
日本最南端の3千m級の山。かつて南アルプス3千m峰のなかでも
最も登山者の少ない山。奧聖岳の東南にある小規模のカールは、南
アルプスとしては最南端のもの。聖岳は3つもの記録を持っていま
す。
・長野県飯田市と静岡県静岡市との境

■11:聖岳山名と最南記録(画展499)


【本文】

南アルプス聖岳は、大井川水系の聖沢、赤石沢などの源流部にあた

る山です。長野県側では西沢ノ岳とも呼び、また早々と太陽の日が

当たることから日知ヶ岳の名もあるといいます。



山頂は東峰と西峰に別れ、東峰を奧聖岳、西峰を前聖岳といい、西

峰の前聖岳は標高が3013mあり、日本最南端の3千m級の山にな

っています。(一般に聖岳といえば前聖岳のことをいうそうですが)。



聖岳の山名由来にはいくつかの説があります。この山の東南にある

聖沢の曲がり形が、まるで肘を曲げたようにひじっていることと、

山の形が高僧の座る聖の座に似ている(『角川日本地名大辞典・静

岡』)ことなどからきているという説。



また静岡県大井川上流から登るとき、悪沢をへずって行かねばなら

ず、ヘズリ沢がヒジリ沢に転訛。その源頭にある山なのでヒジリ岳

になったという説。(『角川日本地名大辞典・長野』)。



また日本アルプスの3千m峰の最南避遠の地にあって容易に近づき

難いという印象からも、いつとはなしに、ヒジリと呼ばれるように

なったという説など(『信州山岳百科』)。



ところで、この山にはいくつか記録があります。聖岳は東側静岡県

側から東聖岳、奥聖岳、前聖岳とならび、普通は奥聖岳と前聖岳を

双耳峰と呼んでいます。三角点は奥聖岳(2982m)にあります。



しかし西峰の前聖岳は標高3013mで、日本最南端の3千m級の山

になっています。また静岡県側大井川林道からと長野県JR飯田線

平岡駅からの登山道がありますが、どれもアプローチが長く、かつ

ては南アルプス3千m峰のなかでも最も登山者の少ない山になって

いたという(『角川日本地名大辞典・長野県』)。



さらに奧聖岳の東南にある小規模のカールは、南アルプスとしては

最南端のもの(『信州山岳百科』)。このように聖岳は3つもの記録

を持っています。



▼聖岳【データ】
【所在地】
・長野県飯田市南信濃地区名(旧下伊那郡南信濃村)と静岡県静岡
市との境。飯田線飯田駅の南東31キロ。大井川鉄道井川駅からバ
ス、畑薙第一ダム下車、歩いて14時間で聖岳。前聖岳に写真測量
による標高点(3013m・最高峰)、それに奥聖岳に三角点(2978.3
m)と写真測量による標高点(2982m)がある。地形図上には聖
岳の総称山名と、前聖岳の山名とその標高、さらに奥聖岳の山名と
その三角点記号と標高、同山の標高点の標高の記載あり。奥聖岳の
三角点より西方向直線約45mに同岳の標高点がある。さらに西方
向直線約580mに前聖岳の標高点がある。
【位置】
・前聖標高点:北緯35度25分21.26秒、東経138度08分22.63秒
・奥聖標高点:北緯35度25分31.14秒、東経138度8分42.48秒
・三角点:北緯35度25分31.71秒、東経138度08分44.2秒
【地図】
・2万5千分の1地形図「赤石岳(甲府)」



▼【参考】
・『信州山岳百科・2』(信濃毎日新聞社編)1983年(昭和58)
・『角川日本地名大辞典20・長野県』市川健夫ほか編(角川書店)1
990年(平成2)
・『角川日本地名大辞典22・静岡県』小和田哲男ほか編(角川書店)
1982年(昭和57)

 

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