『新・山の神々いらすと紀行』
画と文・とよだ 時

第6章 中央アルプス・御嶽の山々

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■04:宝剣岳・天狗岩と千畳敷の雪形

・【略文】
鋭い岩峰を屹立させる宝剣岳。西向きに天狗の面そっくりの形をし
た天狗岩がある。ふもとに人には昔から知られていたらしく、江戸
中期の『宝暦六年駒ヶ岳一覧記』にも、言い伝えの「天狗岩はこの
岩の「義」にて可有御座と察し、絵図にも相認め申候」とある。
・長野県宮田村と上松町との境

■04:宝剣岳・天狗岩と千畳敷の雪形


【本文】

中央アルプス・木曽駒ヶ岳の南方に鋭い岩峰を屹立させる宝剣岳。

東側直下の千畳敷カールまではロープウエイがきており、誰でも登

れる山です。ロープウエイの駅舎を出たとたん、目前にそそり立つ

宝剣岳には圧倒されます。



山の名は、剣のように切り立った岩峰群の形からきているものらし

い。また江戸時代の1811年(文化8)に寂本法師が山頂に錫杖を奉

献したことから錫杖岳とも呼ばれているという。



その宝剣岳の木曽側へ切れ落ちる肩のあたりに、西向きに天狗の面

そっくりの形をした天狗岩があります。夕方、夕陽に映えるこの岩

のシルエットは実に見事です。



この岩はベテランクライマーのロッククライミングが行われるとこ

ろ。岩壁は花崗岩からなっていて、天狗の形は方状節理によってで

きたものという。このような形が目立たないことはありません。



ふもとに人には昔から知られていたらしく、江戸時代中期の『宝暦

六年駒ヶ岳一覧記』にも、言い伝えの「天狗岩はこの岩の「義」に

て可有御座と察し、絵図にも相認め申候」とあります。



何年か前の3月、宝剣岳から空木岳をめざしました。登山口駒ヶ根

駅で山岳関係らしい人がしきりに行き先を聞いてきます。雪の宝剣

岳は厳しく、きのう関西の学生が木曽川の谷に滑落した事件があっ

たという。



そのため絶対に通らないで欲しいとのこと。そこは小心者ぞろいの

わがパーティ、宝剣岳を迂回し、極楽平から島田娘と呼ばれる稜線

へ出て空木岳を目指しました。



▼【データ】
【山名】・宝剣岳・宝剣・錫杖岳(1811年(文化8)寂本法師が山
頂に錫杖を奉献したことに由来)。
【所在地】
・長野県上伊那郡宮田村と長野県木曽郡上松町との境。飯田線駒ヶ
根駅の北西12キロ。JR飯田線駒ヶ根駅からバス、駒ヶ岳ロープウ
エイ、さらに歩いて1時間で宝剣岳。写真測量による標高点(2931
m)がある。地形図に山名と標高点の標高記載あり。標高点より北
方189mに宝剣山荘がある
【位置】
・標高点:北緯35度46分53.07秒、東経137度48分32.98秒
【地図】
・2万5千分の1地形図「木曽駒ヶ岳」2万5千分の1地形図「木
曽駒ヶ岳(飯田)」



▼【参考文献】
・「駒ヶ岳由来記」木曽上松町駒ヶ岳社務所(駒ヶ岳研究第一輯・
上伊那教育会編・昭和15年9月15日所載)宮田村役場提供
・『新日本山岳誌』日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・『角川日本地名大辞典20・長野県の地名』市川健夫ほか編(角川
書店)1990年(平成2)
・「宝暦六年駒ヶ岳一覧記」蕗腹拾葉:『日本山岳風土記2・中央・
南アルプス』(宝文館)1960年(昭和35)

 

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