新・山の神々いらすと紀行』
画と文・とよだ 時

第4章 甲信越の山々

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・12:茅ヶ岳・饅頭峠

【略文】
『日本百名山』深田久弥の終焉地として有名な茅ヶ岳は、中腹に
終焉の碑、南麓に記念公園もあります。近くの饅頭峠は、珍しい
マンジュウ石の出るところ。マンジュウのような茶色い石を割る
と中からアンコのような黒い部分があらわれます。
・山梨県韮崎市と甲斐市、北杜市との境。

▼12:茅ヶ岳・饅頭峠


【本文】

 『日本百名山』深田久弥の終焉地として有名な茅ヶ岳は、中腹

に終焉の碑、南麓に記念公園もあります。近くの饅頭峠は、珍し

いマンジュウ石の出るところ。マンジュウのような茶色い石を割

ると中からアンコのような黒い部分があらわれます。



 この峠に伝わる伝説です。昔、弘法大師があまり空腹なので、

茶屋の老婆に「マンジュウを少し所望したい」と頼みました。す

ると意地の悪い老婆は「ここにあるのは石なので食べられない」

と嘘をついてことわりました。弘法大師が去ったあと、婆さんは

驚きました。なんと、マンジュウは本当に石ころになっていたと

いう。



 『石・昭和雲根志』増富寿之助著によれば、江戸中期の鉱物学

者で奇石愛好家・木内石亭はその著書『雲根志』に甲斐国荒井沢

山(山梨県荒井沢山饅頭峠)の饅頭について「里人は土饅頭とい

う。山麓に多くあり、うす赤くして少し黄なり。石より軟らかく

土より堅い。石の中には黒き膏薬のような土あり」という意味の

ことを書いています。



 これは茅ヶ岳噴火の時にできた石で火口内の凝灰石、安山岩、

の礫を中心核として岩漿中の輝石、角閃石や磁鉄鉱などが付着し

て覆い、さらに岩漿中のナトリウム、カリウム、カルシウムなど

が付いてできたのだという。



 その他諸説あり。近くのホッチ峠にも同じ石があり、学術的に

も注目され県の自然記念物として特別大事にされています。しか

し、ホッチ峠の方は山梨の自然記念物に指定され、採石は禁止さ

れていますが饅頭峠は可能だとか。保護の行方が心配ですよね。



▼饅頭峠【データ】
【所在地】
・山梨県韮崎市と山梨県甲斐市(旧中巨摩郡敷島町)、山梨県
北杜市(旧北巨摩郡明野村)との境。JR中央本線韮崎駅から
バス、穂坂柳平から歩いて1時間で饅頭峠。地形図に峠名のみ
記載。標高なし。
【位置】
・饅頭峠:北緯35度46分10.01秒、東経138度30分01.5秒)
【地図】
・旧2万5千分の1地形図「若神子(甲府)」&「茅ヶ岳(甲府)」
(2図葉名と重なる)



▼【参考】
・『日本大百科全書・6」(小学館)1985年(昭和60)
・『石・昭和雲根志」増富寿之助著(白川書院)2002年(平成14)
・「日本山名事典」徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成16)

 

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