『新・山の神々いらすと紀行』
画と文・とよだ 時

第3章 関東の山々

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■07:妙義金洞山(中之岳)の長清法印の天狗面

【略文】
群馬県上信電鉄の終点、下仁田駅構内待合所には、天狗の面が掲げ
てある。これは妙義山の金洞山(中之岳)にすむというの天狗だと
いう。この天狗は山も崩れるような雷鳴大雨を一喝して止めたとい
う。その名前は長清法印天狗。父は小田原北条家の家臣だったとい
う。
・群馬県下仁田町

■07:妙義金洞山(中之岳)の長清法印の天狗面


【本文】

JR高崎駅から下仁田駅間を走る上信電鉄は、まだ単線。この鉄道

は明治30年(1879)上野鉄道として全線開通、小坂鉄山の鉱石や

富岡製糸場の生糸などを輸送していました。



その終点、下仁田駅の構内待合所には、天狗の面が掲げてあって、

下に「魔除妙義山中之岳大天狗」という文字が書かれています。下

仁田町は、北部に日本三大奇勝の一つ妙義山を控え、その一峰に金

洞山(中之岳)があり、中腹に中之岳神社が建っています。



金洞山には昔から天狗(怪人)が住むといわれ、麓の農家のカキノ

キから雲を足場に山中の住みかに帰っていったとか、山も崩れるよ

うな雷鳴大雨を一喝して止めたなどの不思議な伝承があります。



その怪人の名は長清法印天狗。長清法印の父は小田原北条家の家臣

で、戦場で討ち死に。長清はその仇を打つためこの山に籠もり修行、

ついに神通力を得たと聞きます。



その後、仇は打てたが浮き世の空しさを知り東京上野の寛永寺内元

光寺で仏道を修め、再び金洞山に戻ったといいます。



時は移り、文明ハイテクの世の中になり、こんな子供だましのよう

なことははいつしか忘れられ、いまは構内で面だけが虚空を睨んで

います。




▼【データ】
【所在地】
・群馬県下仁田町。上信電鉄終着下仁田駅
【位置】
・下仁田駅:北緯36度12分37.84秒、東経138度47分12.00秒
【地図】
・2万5千分の1地形図「下仁田(長野)」



▼【参考】
・『天狗の研究』知切光歳(大陸書房)1975年(昭和50)
・『妙義山・歴史と信仰の山』(あさを社)1981年(昭和56)
・『角川日本地名大辞典10・群馬県』井上定幸ほか編(角川書店)1
988年(昭和63)

 

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